『後期高齢者医療制度の、窓口負担割合はどのくらい?』
75歳を迎えると、後期高齢者医療制度に切り替わりますが、「今までの保険とどう違うの?」と不安に思う方も多いかもしれません。
特に、実際に病院で治療を受けたときや、高額な医療費が発生した場合、どれくらいの負担額になるのか気になりますよね。
今回は、後期高齢者医療制度の基本的な概要と、押さえておきたいポイントについて解説していきます。
この記事で分かること
- 後期高齢者制度の概要
- 後期高齢者制度のメリットとデメリット
- 後期高齢者制度の押さえておきたいポイント
後期高齢者制度の基本を理解しよう
後期高齢者医療制度では、令和4年10月から75歳以上で一定以上の所得がある方の医療費負担が、1割から2割に変更されました。
まずは、この制度の基本的な概要から見ていきましょう。
後期高齢者制度とは?
後期高齢者医療制度は、日本の高齢者向け医療制度で、主に75歳以上の高齢者や、65歳以上で一定の障害がある方が対象です。
この制度の主な特徴は以下の6つです。
①対象者
主に75歳以上の高齢者、または65歳以上で一定の障害がある方が対象となります。
➁自動加入
75歳を迎えると、これまで加入していた健康保険から自動的に後期高齢者医療制度に切り替わります。
③保険料
保険料は年金収入や所得に基づいて決まり、通常は年金から天引きされます。
④医療費負担
医療費の負担は原則として1割(所得が一定以上の方は2割)ですが、一定額を超えると自己負担限度額を超えた分が還付されます。
⑤医療サービスの提供
通常の医療保険と同様、病院や診療所で広範な治療を受けることができます。
⑥負担軽減措置
高額な医療費がかかる場合には、負担軽減措置が設けられており、一定額を超える負担については、超過分が返金される仕組みです。
65歳以上でも加入できる理由
先ほど少しお伝えしましたが、後期高齢者医療制度の対象者は、主に以下2つの条件に該当する方々です。
1. 75歳以上の方
75歳を迎えた日から、後期高齢者医療制度に自動的に加入します。
この年齢に達した場合、これまで加入していた健康保険(例えば、会社の健康保険や国民健康保険)から、後期高齢者医療制度に切り替わります。
2. 65歳以上で一定の障害がある方
65歳以上であっても、障害がある方(障害者手帳を持っている、または障害基準に該当する)も後期高齢者医療制度に加入することができます。
ただし、障害の程度や状況に応じて、申請を行う必要があります。
一定の障害とは、身体障害者手帳1~3級や障害基礎年金1級・2級などに該当する状態を指します。
参照サイト
・特別な理由がある場合は75歳未満でも加入可能 | 社会保障制度の未来~後期高齢者医療制度とは~
保険料はどのくらい?
後期高齢者医療制度の保険料は、年金収入や所得に応じて決定されます。
具体的には、以下2つの要素が影響します。
1. 保険料の算出基準
保険料の算出基準に使われる主な要素は、以下の3つです
①所得に基づく保険料
主に年金やその他の収入に基づいて算出されます。
➁均等割
すべての加入者に一定額の「均等割」がかかり、この金額は住んでいる地域(都道府県)や自治体によって異なります。
③所得割
収入に基づいて「所得割」が課せられ、一定額を超える所得には保険料が加算されます。
2. 保険料の目安
75歳以上の方の場合、月額で約5,000円〜7,000円程度(年金収入に応じて異なる)。
所得が少ない場合は、最低限の保険料が設定されている場合もあり、場合によっては数千円程度です。
参照サイト
・後期高齢者医療制度とは?75歳以上の保険料や自己負担割合 | 介護健康福祉のお役立ち通信
後期高齢者制度のメリットとデメリット
次に、後期高齢者医療制度のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
医療費負担の軽減については、すでにご理解いただけると思いますが、それ以外にもどのような特徴があるのか、具体的にご紹介していきます。
後期高齢者制度のメリット
後期高齢者医療制度のメリットは、以下の3点です。
①高額療養費制度による自己負担額の軽減
高額療養費制度に基づき、一定の自己負担額を超える医療費について、自己負担限度額が設定され、超過分が軽減されます。
➁保険料の減免措置
所得が少ない方や特定の条件に該当する方には、保険料の軽減や減免措置が適用され、経済的負担を軽減できます。
③介護保険制度との連携
医療と介護が一体的に提供され、必要な支援をスムーズに受けることができ、健康面と生活面の両方でサポートが強化されます。
注意すべきデメリットとは?
一方で、後期高齢者医療制度の注意すべきデメリットとして、以下の3点が挙げられます。
①保険料が高額になる可能性
一定以上の所得がある場合、保険料が高額になり、特に年金収入が主な収入源の高齢者にとって生活費に影響を与えることがあります。
➁社会保険の扶養から外れる
社会保険の扶養に入っている場合、扶養者の社会保険料に影響が出る可能性があります。
③所得上の扶養から外れる
扶養から外れることで、家族の所得控除や社会保険料に変動が生じることがあります。
老後のライフプランに関する相談ができるサイト
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制度を利用する際のポイント
最後に、後期高齢者医療制度を利用する際のポイントについて見ていきましょう。
一般的に自己負担限度額は世帯で合算できますが、後期高齢者医療制度では世帯合算ができない点に注意が必要です。
後期高齢者制度での自己負担限度額
自己負担限度額とは、一定の医療費を支払った際に負担する金額に上限が設けられた制度で、医療費が一定額を超えた場合、その超過分が軽減される仕組みです。
具体的には、高額療養費制度に基づき、所得や医療費の額に応じて自己負担限度額が異なります。
これにより、高額な医療費がかかっても、一定の負担で済むことができます。
ただし、後期高齢者医療制度では、世帯全体での医療費合算はできないため、各人ごとに自己負担限度額が設定されます。
複数の家族が医療を受けた場合でも、世帯全体での負担軽減はできませんので、この点には特に留意が必要です。
自己負担限度額に関するコラム
・自己負担限度額とは?70歳以上の医療費負担軽減の仕組み
医療費負担を軽減するには?
後期高齢者の医療費負担を軽減する方法として、以下の2点が挙げられます。
①医療費控除の活用
後期高齢者の場合、自己負担額が高額になりやすいため、医療費控除を活用することで可処分所得を増やすことができます。
➁保険の最適化
年齢・健康状態に応じた保障内容を見直すことで、補償内容と保険料のバランスを最適化できます。
その他の控除やその他の保険についても、合わせて学んでおきましょう。
合わせて読みたいコラム
・扶養にシニア世代を入れることのメリットとは?税制面でのメリットを解説
・ライフステージに合わせた終身保険の活用法!どんな人におすすめ?
まとめ
今回の記事のまとめです。
後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者や65歳以上で一定の障害がある方を対象としています。
医療費の負担は通常1割から2割ですが、自己負担限度額を超えると、超過分が還付される仕組みもあります。
医療費負担を軽減する方法として、まずは医療費控除を活用することで税負担を減らすことができます。
また、保険の見直しを行い、必要な保障と保険料のバランスを最適化することも有効です。