『定期保険と終身保険の違いって?』
保険の見直しは、結婚、子供の誕生、住宅購入、キャリアの変化など、ライフステージや経済状況の変化に応じて必要になります。
適切な知識を身につけることで、将来のライフステージに合った保険を選べるようになります。
今回は、定期保険と終身保険に焦点を当て、それぞれの特徴について詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- 定期保険と終身保険の基本的役割
- 定期保険と終身保険の見直し時期
定期保険の基本知識
定期保険とは、一定期間を保障する保険のことを指します。
定期保険は、契約期間内に死亡や高度障害などの場合に保険金が支払われる掛け捨て型の保険です。
途中で解約すると返戻金が少なくなる特徴がありますが、定期保険は一定期間に限定された保障のため、終身保険よりも保険料が安いというメリットがあります。
定期保険には、保険期間が長期にわたる「全期型」と、保険期間を10年、15年などと区切り、保険期間が満了したら契約を更新する「更新型」の2種類があります。
「全期型」は保険期間中の保険料が一定ですが、「更新型」は、10年、15年など決められた保険期間が終了するごとに保険料が見直されます。
また、定期保険には、保険金が減額していく逓減定期保険や、年金形式で受け取る収入保障保険など、いくつかの種類に区分されます。
定期保険や終身保険は、生命保険の中でも最もポピュラーな保険と言えます。
生命保険の役割については、以下の記事で分かりやすく解説しています。
定期保険の種類
定期保険にはいくつかの種類があります。
以下は定期保険の主な種類です。
①死亡保険付き定期保険
一定期間(例えば10年間、20年間など)のみ死亡保障が提供される保険です。保険期間内に被保険者が死亡した場合、指定された死亡給付金が受け取れます。
➁傷害保険付き定期保険
死亡保障の他に、事故や怪我による傷害に対する保障も適応される保険です。
③団体定期保険
企業や団体が従業員のために取り扱う保険です。集団での契約のため保険料が割安になることがあり、会社が保険料を負担する場合は全額損金算入することができます。
④収入保障付き定期保険
被保険者が死亡した場合、その家族や収入に依存している人々に定期的な収入が支給される保険です。死亡給付金を一括で支払うのではなく、収入の補填として定期的な支払いが行われます。
⑤医療保険付き定期保険
被保険者が特定の疾病に罹患した場合に、医療費や治療費をカバーする保険です。例えば、がん保険や重大疾病保険がその一例です。
⑥借入金保障付き定期保険
貸金業者からの借入金や住宅ローンなどの債務が残っている場合に、被保険者の死亡に備えて借入金の返済を保障する保険です。借入金が残っている場合でも残債をカバーするための保険金が支払われます。
⑦逓減定期保険
時間の経過とともに保険金額が減少していく保険です。保険期間中、支払う保険料を一定に保てるため、子どもがいる家庭におすすめな保険です(子供の成長によりリスクを抑えることが可能のため)。
定期保険のメリットとデメリット
定期保険は、保険期間が終了するまで一定の死亡保障などがあり、保険料が比較的安価です。
また、保険期間が決まっているため、補償内容を見直しやすいメリットがあります。
ただし、保険期間が終了すると保険金が支払われないだけでなく、更新時には保険料が増加するなどのデメリットがあります。
以下の図は、定期保険のメリットとデメリットを比較したものです。
メリット | デメリット |
保険料が割安(貯蓄型保険と比較した場合) | 解約返戻金がなく、貯蓄性が乏しい |
保証が手厚い | 満期をもって保証が終了 |
保証の見直しがしやすい | 更新時に保険料が上がる(同額更新した場合) |
終身保険の基本知識
終身保険とは、被保険者が死亡するまで一生涯保障が続く保険です。
更新や保険料の上昇がなく、保障期間が長い特徴があります。
そのため、定期保険よりも保険料が高くなります。
途中解約時には解約返戻金が受け取れるため、貯蓄機能に優れています。
さらに、高齢になっても保障が続くため、主に葬儀費用の準備目的で利用されることが多く、相続対策にも活用できるメリットがあります。
終身保険の種類
終身保険にはいくつかの種類があります。
以下4つは終身保険の主な種類です。
①低解約返戻金型終身保険
払込期間中に解約した場合の返戻金を比較的低く設定した保険です。保険料を抑えつつも一生涯にわたる死亡保障を確保できるというメリットがあります。
➁積立利率変動型終身保険
加入時の予定利率が保険期間中に変動する積み立て型の保険です。市場金利が上昇すると解約返戻金も増加するため、インフレリスクに対して強い特徴があります。ただし、将来の解約返戻金が確定していないため、予定受取額よりも少ない返戻金となる可能性もあります。
③変額保険(終身型)
積立部分を株式や債券などの投資商品で運用する保険です。死亡や高度障害状態となった場合には最低保証がありますが、運用成績によって保険金額や解約返戻金が変動し、運用の結果次第では元本を下回ることもあります。
④外貨建て終身保険
外貨建て保険は、払い込んだ保険料が外貨で運用される終身保険です。保険料は原則として米ドルや豪ドル、ユーロなどの外貨で支払い、保険金や解約返戻金なども外貨で受け取ることができます。ただし、特約を付加することで保険料の払込みや、保険金、解約返戻金の受取りを日本円でできる商品もあります。
終身保険のメリットとデメリット
終身保険は葬儀費用を準備したい人に適した保険です。
そのため、自身の終活の一環として検討している方も多いのではないでしょうか。
終身保険は、一度加入すれば解約しない限り、一生涯にわたって死亡保障を受け続けることができます。
では、以上を踏まえた上で、終身保険のメリットとデメリットを下記の図にまとめてみます。
メリット | デメリット |
保険料は一定 | 保険料が割高(定期保険と比較した場合) |
貯蓄債がある | 解約返戻金保険料を下回る可能性(中途解約の場合) |
必要な期間の保証を手厚くできる | 細かい保証や条件の見直しが難しい |
保険料が生涯一定である終身保険は魅力的ですが、定期保険と比較すると保険料は一般的に割高になります。
ちなみに、葬儀保険は少額短期保険を利用して備えることも可能です。
保険の見直し時期は?
では、ここからは保険の見直しをするタイミングについて見ていきましょう。
主に、以下の3つのタイミングで保険の見直しを行うことができます。
1.ライフステージが変化する場合
ライフステージの変化時には、具体的な状況に応じて保険内容を見直す必要があります。たとえば、結婚や出産を機に、家族の人数や生活費が増えるため、死亡保障や医療保障の拡充が必要になります。また、子供の独立や定年退職を迎えると、生活スタイルや収入源が変わるため、保険の必要性や内容も変わってきます。
2. 定期保険を更新する場合
定期保険の更新時には、保険期間が終了する10年や20年ごとに、家族の状況やライフプランに合った保障内容を再考する必要があります。たとえば、子供が独立したり、住宅ローンが完済したりすることで、死亡保障や医療保障の必要性が変わってきます。
3.保険料の負担が家計を圧迫している場合
保険料が家計を圧迫する可能性があります。子供の成長に伴う教育費や生活費の増加、経済的な不安定要因(例えば不景気による収入減)などがあると、月々の保険料の支払いが難しくなる可能性があります。その場合は、保険料支払いの負担を軽減するために、保険内容の見直しや、支払い方法の変更などの対策が必要です。
保険を見直す際に重要なこと
まず、保険を見直す際の重要な要素は、必要な保障と保険料のバランスです。
保険は将来のリスクに備えるためのものですが、支払い負担が大きすぎると家計に負担がかかります。そのため、必要な保障を確保しつつ、支払い額が家計に無理のない範囲内に収まるように保険を選ぶことが重要です。
次に、保険の保障期間です。定期保険は一定期間のみ保障を受けられるため、安価で短期のリスクに対処できますが、保障が満了後になくなるというデメリットがあります。一方、終身保険は一生涯保障を受けられるため、老後のリスクもカバーできますが、保険料が高額で長期間支払う必要があります。
そして最後に、保険金の受取人を見直すことも重要です。保険金の受取人は加入時に決めますが、人生の変化に合わせて見直すことができます。結婚や子供の出産などで家族構成が変わった場合、受取人を変更して誰にお金を遺したいかを考慮することも大切です。
定期保険と終身保険については、今後の記事で詳しく解説していきます。
まとめ
今回の記事のまとめです。
定期保険は、一定期間のみ保障を受けられる保険で、保険料が比較的安価です。
短期的なリスクに対処する際に適していますが、保障は期間満了後に消滅し、その後の保険料が増加するデメリットがあります。
一方、終身保険は一生涯保障が続き、老後のリスクにも対応でき、保険料が一定である点がメリットです。
ただし、定期保険に比べて保険料が高額で、長期間支払う必要があります。
家族構成やライフスタイルの変化を考慮し、現時点で必要な保障を確保することは重要ですが、同時に家計を圧迫しない保険料を選ぶことも大切です。