副業による所得が「給与所得や退職所得以外の所得で20万円以下」に該当する場合、副業で収入があっても税金はかかりません。
ただし、副業の所得が20万円以下であっても、確定申告をした方が良い場合があります。これは還付申告と呼ばれ、医療費控除や初回の住宅ローン控除などが該当します。
また、副業における経費の考え方を理解しておくことも、納税額を抑えるために重要です。
この記事で分かること
- 副業と税金の関係について
- 副業における経費の重要性
- 副業で税金がかからないケースとは
副業における税金の基本知識
まずは、副業における税金の基本知識について見ていきましょう。
所得税と住民税の基本解説
副業における税の仕組みを理解するためには、所得税と住民税について把握しておくことが重要です。
所得税は、個人が一年間に得た全ての所得に対して課される税金です。この「所得」には、給与、事業収入、投資利益などが含まれます。所得税は毎年確定申告を通じて申告し、納税します。ただし、サラリーマンなどの給与所得者は、年末調整を行うことで税額が調整されることもあります。
住民税は、居住している自治体に対して支払う税金です。住民税には「均等割」と「所得割」の二つの部分があります。均等割は所得に関係なく一律の金額が課税され、自治体によってその金額は異なります。所得割は前年の所得に基づき課税される部分で、通常は総所得から控除額を引いた額に税率が適用されます。
所得税は、個人が1年間に得た「所得」に対して課税される税金を指します。
その内訳には給与所得、事業所得、雑所得など、合計で10種類あります。
副業に対する課税の流れ
副業に対する課税の流れを、以下の6つのステップにまとめます。
①副業の収入と経費の記録
副業で得た収入と関連する経費(材料費、通信費、交通費など)を詳細に記録します。これにより、課税対象となる所得額を正確に把握することができます。
➁所得の計算
副業からの収入から必要経費を差し引き、実際の所得を算出します。副業の所得は、収入から経費を引いた額で、課税対象となる金額です。
③確定申告の準備
副業の所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。確定申告では、副業の所得と本業の給与所得を含む年間の総所得を申告し、必要経費や控除も計上します。
④確定申告の実施
確定申告は毎年2月16日から3月15日までの期間に行います。オンライン申告(e-Tax)や税務署に直接提出する方法があります。
⑤所得税の計算と納税
確定申告を通じて計算された課税所得に基づき、所得税が決定されます。所得税は累進課税で、所得が多いほど税率が高くなります。確定申告後に納税額を支払います。
⑥住民税の申告と納税
確定申告の情報をもとに、住民税が計算されます。住民税は前年の所得に基づいて課税され、通常は年4回に分けて支払います。
副業における経費の考え方
次に、副業における経費の考え方について理解を深めておきましょう。
経費にできる項目と条件
副業の場合でも、事業に関連する費用は経費として計上できます。
ただし、副業に特有の注意点があります。
以下に、副業で経費として認められる項目とその条件について説明します。
副業における経費の3つの基本ルール
①事業関連性
副業のために発生した費用であることが条件です。私的な支出と副業の支出を明確に区別することが重要です。
➁証拠書類の保管
領収書、請求書、契約書などの証拠書類をきちんと保管し、必要に応じて説明できるようにしておくことが必要です。
③按分(あんぶん)
副業とプライベートの両方に使用する支出は、どの程度を副業に使ったかを按分(割合を決めて分けること)して経費として計上します。例えば、自宅の一部を副業のために使用している場合、面積や使用時間に基づいて按分します。
通信費、交通費、消耗品費、家賃・電気代の一部、外注費、広告宣伝費、事業用の備品代、保険料は、経費として認められる項目です。
経費計上の際の注意点
先ほど副業における経費の考え方についてお話ししましたが、もう少し詳しく解説したいと思います。
まず、経費として認められるのは、事業に直接関連する支出のみであり、私的な支出との区別が非常に重要です。例えば、インターネットや携帯電話の費用を業務とプライベートで併用している場合は、業務に使用した分だけを按分して計上する必要があります。
次に、経費を計上する際には、領収書や請求書といった証拠書類を必ず保管することが求められます。これらの証拠書類は、原則として7年間保存する必要があるため、整理して適切に保管しておくことが大切です。
また、経費はその支出が発生した会計期間に計上することが原則です。例えば、12月に購入した商品は、その年の経費として計上しなければなりません。
副業で税金がかからないケースとは
最後に、副業に税金がかからないケースについて見ていきましょう。
20万円以下の収入が非課税になる理由
副業を行う場合、基本的には確定申告が必要ですが、年間の副業所得が20万円以下の場合には例外があります。
具体的には、年間の副業所得が20万円を超えると、所得税の申告・納税が義務付けられます。この所得には、収入から必要経費を差し引いた額が含まれます。
一方で、副業の年間所得が20万円以下の場合は、確定申告は不要です。ただし、住民税に関しては、20万円以下の収入でも申告が必要な場合があるので、居住地の自治体に確認することが重要です。
住民税の取り扱いは自治体によって異なるため、必要に応じて申告を行う必要があります。
年間の副業所得が20万円以下の場合、所得税は課税されません。
しかし、住民税については市町村によって取り扱いが異なるため注意が必要です。
副業の雑所得と事業所得の違い
副業における「雑所得」と「事業所得」の違いを理解しておきましょう。
雑所得とは、他の特定の所得区分(例えば給与所得や事業所得)に該当しない収入を指します。具体的には、ネットオークションやフリマアプリでの売上、株式の配当、年金などが雑所得に該当します。雑所得では、収入から必要経費を差し引いた額がそのまま所得となりますが、経費の範囲は比較的制限されています。
一方、事業所得とは、継続的に行う事業活動から得られる収入を指します。これには、フリーランスとしての業務、店舗経営、コンサルティング業などが含まれます。事業所得では、事業に関連する広範な経費を計上することができ、事業用の設備や家賃、光熱費などが経費として認められます。
副業で収益が安定してくると、フリーランスとしての活躍の場が広がる可能性も出てきます。
フリーランスに関する情報は以下の記事でまとめていますので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
今回の記事のまとめです。
副業における税の仕組みを理解するためには、所得税と住民税について把握することが重要です。
副業の経費に関しては、次の点に注意する必要があります。
まず、経費として認められるのは事業関連の支出であり、個人的な支出とは区別する必要があります。例えば、業務用の設備や事業に関連する光熱費などは経費として計上できますが、プライベートで使用する部分については按分(あんぶん)して計上する必要があります。
副業を行う場合、基本的には確定申告が必要ですが、年間の副業所得が20万円以下の場合、所得税は課税されません。ただし、住民税については市町村によって取り扱いが異なるため、確認が必要です。
参考サイト:国税庁「雑所得」