税金に関する知識は、私たちの生活に欠かせない要素です。
特に「所得控除」は、税負担を軽減する重要な仕組みです。
所得控除がどのように機能し、どのような種類があるのか、またどのように申告するのかを理解することで、税金の知識が深まり、資産管理が向上します。
本記事では、所得控除の仕組みを解説し、会社員にとっての具体的なメリットを考察します。
この記事で分かること
- 所得控除の仕組み
- 所得控除の計算方法
所得控除とは何か
それでは、まず初めに所得控除の仕組みについて解説していきます。
所得控除の仕組み
所得控除とは、年間の総収入から経費を差し引いて残った「所得」から、さらに差し引ける金額のことです。
具体的には、次のような計算になります。
年間の総収入-経費-所得控除=課税所得
この「課税所得」に税率をかけて、最終的な税額が決まります。所得控除が大きいほど、課税される金額が減り、結果として節税につながります。
簡単に言えば、所得控除は税金の計算をする前に適用できる「割引」のようなものです。
所得控除を上手に活用することで、納税額を抑え、手元により多くの資金を残すことができます。
ちなみに、類似の控除に「税額控除」があります。両者の違いは「所得から控除するか、税額から控除するか」という点です。
所得控除の定義と目的
所得控除とは、納税者が一定の条件を満たす支出や状況を考慮して、課税対象となる所得から差し引くことができる金額のことです。
所得控除を適用することで、実際に課税される所得が減少し、結果として支払うべき税金の額を軽減します。
所得控除の目的には以下の2つがあります。
①税負担の軽減
所得控除を利用することで、納税者の税負担を軽減し、経済的な負担を和らげることができます。たとえば、家族を養うための支出や教育費、医療費などが控除対象となり、個々の状況に応じた税負担が反映されます。
➁個人の経済的安定
所得控除は、個人や家庭の経済的安定を支える役割も果たします。特に医療費や災害復旧費用など、予期しない支出に対する控除は、家計を助ける重要な要素となります。
所得控除のメリット
所得控除には、納税者にとって多くのメリットがあります。
経済的負担の軽減
所得控除を活用することで課税所得が減少し、結果的に納税額が軽くなります。これにより、生活費やその他の必要経費に回す余裕が生まれ、家庭の経済状況が改善されることが期待できます。
資産形成の機会増加
所得控除を利用することで納税者は節税が可能となり、その分の資金を資産形成や投資に振り向けることができます。これにより、将来のための資産づくりをサポートする役割を果たします。
所得控除の種類
次に、所得控除の種類について見ていきましょう。
所得控除は全部で15種類ありますが、この章では基礎控除をはじめ、その他の所得控除について解説します。
基礎控除とは?
基礎控除とは、すべての納税者に対して、所得から一定額を無条件で差し引くことができる控除のことです。
基礎控除は、所得税を計算する際に所得に応じた金額を控除し、納税者の税負担を軽減する仕組みです。
基礎控除は、合計所得金額が2,500万円以下の人が対象となり、所得に応じて以下の金額が控除されます。
所得2,400万円以下の人
48万円の基礎控除
所得2,400万円超〜2,450万円以下の人
32万円の基礎控除
所得2,450万円超〜2,500万円以下の人
16万円の基礎控除
所得2,500万円超の人
基礎控除は適用されない
その他の所得控除15種類
所得控除にはさまざまな種類があり、合計で15種類の所得控除が設定されています。
以下は、主要な所得控除の種類とその概要です。
①配偶者控除
配偶者の合計所得金額が一定額以下の場合に適用される控除。
➁配偶者特別控除
配偶者の合計所得が一定の範囲内の場合に適用される控除。
③扶養控除
扶養している親族(子どもや高齢者など)がいる場合に適用される控除。
④雑損控除
災害や盗難、横領などによる財産の損失に対して適用される控除。
⑤障害者控除
障害者本人やその扶養者が受けられる控除。
⑥寡婦控除
離婚または配偶者の死亡により、独身である寡婦に適用される控除。
⑦ひとり親控除
ひとり親が扶養する子どもに対して適用される所得控除。
⑧医療費控除
自身や家族の医療費が一定額を超えた場合に適用される控除。
⑨社会保険料控除
支払った社会保険料に対して適用される控除。
➉生命保険料控除
生命保険料を支払った場合に適用される控除。
⑪震保険料控除
地震保険料を支払った場合に適用される控除。
⑫寄附金控除
特定の団体に寄附した場合に適用される控除。
⑬小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済や確定拠出年金にかかる掛金が控除される。
⑭勤労学生控除
学生でありながら働いている場合に適用される控除。
⑮基礎控除
すべての納税者に対して適用される控除で、所得から一定額を差し引ける。
すべての控除を覚えておく必要はありません。
大事なのは、「このような控除がある」と知っておくことで、控除が適用される可能性を意識することです。
所得控除の計算方法
では最後に、所得控除の計算方法について見ていきます。
会社員の方々にとっては、年末調整や確定申告で活用する機会が多いため、正確な理解が不可欠です。
所得控除の計算ステップ
所得控除の計算式について見ていきます。
ここでは、会社員の給与収入が660万円未満の場合を例に挙げて、所得控除の計算について説明します。
例:給与所得控除の計算式(給与収入600万円の場合)
給与収入金額が 3,600,001円から6,600,000円 の場合の計算式は次の通りです。
給与所得控除額=収入金額×20%+440,000円
給与所得控除額=6,000,000円×20%+440,000円
=1,200,000円+440,000円
=1,640,000円
給与所得控除額=1,640,000円
まとめ
今回の記事のまとめです。
所得控除とは、年間の総収入から経費を差し引いた「所得」から、さらに差し引ける金額のことです。この控除を利用することで、納税額を抑え、手元に残るお金を増やすことができます。
所得控除の目的
- 税負担の軽減
- 個人の経済的安定
所得控除のメリット
- 経済的負担を軽減できる
- 資産形成の機会が増える
所得控除は全部で15種類あり、基礎控除をはじめ、その他の控除をうまく活用することで、さらに納税額を減らすことが可能です。