『人生100年時代』という言葉が最近よく耳にされるようになりましたね。
企業年金は、老後の生活を支える重要な資金源ですが、運用状況やその影響について不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
企業年金に限ったことではありませんが、定期的に運用状況を見直すことは、将来の資産形成に役立ちます。
本記事では、企業年金の運用状況を確認する方法や、加入者が抱える具体的な悩みについて解説します。
この記事で分かること
- なぜ企業年金が必要なのか
- 企業年金の運用状況を確認する方法
- 企業年金の気になる悩みの解決法
企業年金加入へのメリット
ではまず最初に、企業年金がなぜ必要なのか、その特徴について見ていきます。
企業年金の仕組みや具体的な特徴については他の記事で紹介しているため、ここでは加入することのメリットを簡潔に解説したいと思います。
企業年金の特徴
企業年金は、従業員が退職後に受け取る年金の一部で、老後の生活資金を支える重要な仕組みです。
企業年金は年金の三階建て部分にあたり、企業年金には主に以下三つの種類があります。
①厚生年金基金
企業が運営し、退職後にあらかじめ決められた年金額を支給します。
➁確定給付型(DB)
将来受け取る年金額が事前に確定しており、その運用リスクは企業が負担します。
③確定拠出型(DC)
掛金はあらかじめ設定されていますが、最終的な受取額は運用成績によって変わります。このため、リスクは加入者が負うことになります。
確定拠出年金、通称iDeCoについては、以下の記事で詳しくまとめています。
運用状況の確認がなぜ必要なのか?
企業年金の特徴を理解したところで、次に運用状況の確認がなぜ必要なのかを見ていきましょう。
企業年金は将来の資産形成を目的としているため、運用状況の確認が将来の受給額に影響を及ぼす可能性があります。
運用状況を定期的に確認することのメリット
企業年金を定期的に確認することには、いくつかのメリットがあります。
以下に、その中から4つのメリットを挙げます。
①運用状況の把握
定期的に企業年金の運用状況を確認することで、資産の増減や投資パフォーマンスを把握できます。これにより、年金受給額が将来どのようになるかを予測しやすくなります。
➁リスク管理
市場の変動や運用成績の変化に応じて、リスクの分散や資産配分の見直しが可能になります。これにより、将来のリスクを軽減し、安定した資産形成が期待できます。
③生活設計の向上
自身の年金資産の状況を理解することで、老後の生活設計が具体的になります。資産形成の進捗を確認し、必要に応じて追加の貯蓄や投資を行うことができます。
④制度の理解促進
定期的にチェックすることで、企業年金制度や運用に関する理解が深まります。
企業年金の運用状況を確認する方法
ではここからは、企業年金の運用状況を確認する、具体的な方法について見ていきます。
企業年金の運用状況を確認する4つの方法
企業年金の運用状況を確認する方法には、以下の4つの方法があります。
①企業からの定期報告書
多くの企業は、年に数回、企業年金の運用状況をまとめた報告書を提供しています。この報告書には、運用成績や資産の増減、リスク状況が含まれています。
➁オンラインプラットフォーム
企業年金の管理を行っている金融機関や保険会社のウェブサイトにアクセスすると、自分の年金口座の運用状況を確認できます。
③年金相談窓口
企業年金に関する疑問や不安がある場合、企業の人事部門や年金相談窓口に問い合わせることもできます。専門家に相談することで、運用状況の理解を深めることができます。
④セミナーや勉強会への参加
一部の企業や金融機関は、企業年金に関するセミナーや勉強会を開催しています。こうしたイベントに参加することで、運用状況についての最新情報や知識を得ることができます。
一般的に、企業からの定期報告書を通じて運用状況を確認することができます。
また、他にも年金相談窓口に相談することで、詳細な情報やアドバイスを得ることができます。
参照サイト
・企業年金連合会(Pension Fund Association)
・全国の相談・手続き窓口|日本年金機構
企業年金の気になる悩みとその解決策
最後に、企業年金に関する悩みとその解決策について考えてみましょう。
企業年金制度の普及率はどのくらい?
企業年金制度の普及率についての最新のデータによると、日本の企業における年金制度の導入状況は以下の通りです。
正社員
・企業年金の適用割合: 30.2%
・退職金制度の適用割合: 80.7%
正社員以外の労働者
・企業年金の適用割合: 6.4%
・退職金制度の適用割合: 12.2%
このデータから、正社員に比べて非正社員の企業年金および退職金制度の適用割合が著しく低いことが分かります。
これは、正社員と非正社員の間に福利厚生の格差が存在することを示しており、雇用形態による制度の利用状況に違いがあることを反映しています。
出典サイト
・企業年金・個人年金制度の現状等について
企業年金加入者と未加入者の受給額の差は?
結局のところ、企業年金制度を利用することで受給者の手取りにはどの程度の差が生じるのかを考察します。
企業年金制度の有無による受給金額の差を退職金を含めて考慮した場合、勤続年数に応じた退職給付の金額は以下の通りです。
勤続年数 | 退職金のみ | 企業年金のみ | 両制度併用 | 平均受給額 |
---|---|---|---|---|
20年以上25年未満 | 1,267万円 | 1,058万円 | 1,743万円 | 1,678万円 |
25年以上30年未満 | 1,395万円 | 1,106万円 | 1,854万円 | 1,814万円 |
30年以上35年未満 | 1,794万円 | 1,658万円 | 2,081万円 | 1,827万円 |
35年以上 | 2,173万円 | 1,897万円 | 2,493万円 | 2,197万円 |
平均 | 1,983万円 | 1,678万円 | 2,357万円 | 2,168万円 |
出典:厚生労働省『平成30年就労条件総合調査 結果の概況』より
企業年金の運用状況を試算できるサイトとは?
企業年金の運用状況を確認するためのサイトには、以下の2つがあります。
・年金試算シミュレーション|企業年金連合会
・公的年金シミュレーター
これらのサイトなどを活用してシミュレーションを行うことで、自分の資産が適切に運用されているかを確認できます。
主な入力項目は以下の2つです。
①基本情報の入力
年齢、性別、勤務年数、給与水準など。
➁退職積立見込額
将来的に受け取る退職金や年金の見込額を算出します。
まとめ
今回の記事のまとめです。
企業年金を定期的に確認することには、以下のようなメリットがあります。
・運用状況の把握
・リスク管理
・生活設計の向上
・制度の理解促進
企業年金の運用状況を確認する方法には以下のようなものがあります。
・企業からの定期報告書
・オンラインプラットフォーム
・年金相談窓口
・セミナーや勉強会への参加
定期的に企業年金の運用状況をシミュレーションし、資産が適切に運用されているかを確認することが重要です。