終身保険は、長期的な保障と貯蓄機能を備えた保険で、さまざまなライフステージに応じて活用できます。
終身保険の最大の特徴は、被保険者が生きている限り一生涯にわたって保障が続くことです。
誰もが最期を迎えるため、途中で解約しない限り、確実に保険金を受け取れる安心感が魅力です。
本記事では、終身保険の基本的な仕組みから、5つの種類、さらに終身保険が適している人の特徴について詳しく解説します。
この記事で分かること
- 終身保険の基本的な仕組み
- 終身保険の種類
- 終身保険がおすすめな人
終身保険の基本的な仕組み
それではまず最初に、終身保険の基本的な仕組みについて見ていきましょう。
終身保険を活用することで、具体的にどのようなメリットがあるのかを解説します。
終身保険の特徴
終身保険は、被保険者が生存している限り保障が続く生命保険で、死亡または保険会社所定の高度障害状態に対して保険金が支払われます。
途中で解約した場合は、払込保険料に応じた解約返戻金が受け取れますが、その額が総払込保険料を下回ることもあります。
保険料の払込期間は、契約から一定年数(有期払)または一生涯(終身払)を選べるため、ライフプランに応じて柔軟に設定できます。
これにより、長期的な保障と資産形成を図ることが可能です。
終身保険のメリット:保障と貯蓄の両立
終身保険の大きなメリットは、保障と貯蓄を同時に実現できる点です。
具体的には、以下の3つのポイントがあります。
①永続的な保障
終身保険は、被保険者が生存している限り保障が続きます。さらに、保険料は更新がないため、一定の保険料を継続して支払うことができます。
➁貯蓄機能
終身保険には解約返戻金が設定されており、保険料の一部が積み立てられます。一定期間が経過した後に解約すると、払込保険料の総額に応じた返戻金を受け取ることができ、保険料を支払いながら資産形成が可能です。
③相続対策
終身保険は死亡保険金として受け取れるため、相続時に遺族への財産を確保する手段として利用できます。
終身保険は生命保険控除の対象となります。
生命保険控除については、以下の記事で詳しくまとめています。
終身保険のデメリット:割高な保険料と資産性
終身保険にはいくつかのデメリットがありますが、特に保険料が比較的高めであることと、資産性に関する点に注意が必要です。
以下にそれぞれのポイントを説明します。
①割高な保険料
終身保険は一般的に、他の生命保険よりも保険料が高めに設定されています。これは、生涯にわたって保障が続くため、長期的な保障には高額な保険料が必要となるからです。そのため、若い世代や収入が少ない方にとっては、負担が大きくなる可能性があります。
➁資産性の制約
終身保険には解約返戻金が設定されていますが、解約時に受け取る返戻金が、支払った保険料の総額を下回ることがあります。また、解約返戻金の増加は保険料の支払い開始から一定期間を経過してからとなるため、短期的な資産形成には向いていません。
長期的な資産形成には、私的年金などの「第三の年金」も選択肢としてあります。
第三の年金については、以下の記事で詳しくまとめています。
終身保険5つの種類
次に終身保険の種類について見ていきます。
終身保険の種類は以下の5つに区分され、それぞれ異なる特徴があるため、概要を一つずつ見ていきましょう。
通常の終身保険(定額終身保険)
一般的に「終身保険」と呼ばれるのは、このタイプの保険を指します。
一般的な終身保険では、保険会社が契約者に約束した予定利率に基づき、解約返戻金や保険金の額が事前に定められています。
また、保険料も契約時に固定されるため、上昇することなく保障が続きます。
メリット
保障額が変わらないため、将来の見通しが立てやすく、一定の保障を求める方に向いています。
デメリット
解約返戻金が低いため、資産形成を目的とする場合にはあまり適していません。
変額終身保険
変額終身保険は、払込んだ保険料を保険会社が株式や債券で運用し、その運用実績に基づいて保険金や解約返戻金の額が増減するタイプの終身保険です。
以下に、変額終身保険の主な3つの特徴をまとめます。
①運用の変動性
保険料の一部が株式や債券などの金融商品に投資されるため、市場の動向に応じて解約返戻金や死亡保険金が変動します。市場が好調な場合には、保険金や解約返戻金が増加する可能性があります。
➁解約返戻金のリスク
解約返戻金には最低保証がないため、運用結果によっては払込保険料総額を下回る場合もあります。このため、長期的な視点での運用が必要です。
③死亡保障
変額終身保険は、保険金の最低保証が設けられているため、万が一の際には契約時に定めた金額を受け取ることができます。
外貨建て終身保険
外貨建て保険は、払込んだ保険料を米ドルやユーロ、豪ドルなどの外貨で運用する保険商品です。
以下に、外貨建て保険の主な特徴をまとめます。
①高い予定利率
外貨建て保険は、円建て保険に比べて予定利率が高い傾向があります。これにより、運用益が期待できるため、資産形成を目的とする方に向いています。
➁リスク分散
外貨で運用されるため、資産のリスクを分散することが可能です。特に、複数の通貨を用いることで、特定の通貨に依存しない資産運用が実現できます。
③為替リスク
外貨建て保険は為替リスクが伴います。為替変動によって保険金や解約返戻金が円建てで減少する可能性があるため、契約者は為替相場に注意を払う必要があります。
低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険は、解約時に受け取る返戻金(解約返戻金)が比較的低く設定されている終身保険の一種です。
以下に、その主な特徴とポイントをまとめます。
①保険料が割安
通常の終身保険に比べて保険料が割安に設定されています。解約返戻金が低いため、長期にわたる資産形成に適しています。
➁元本割れリスク
保険料払込期間中に解約すると元本割れが発生することがあります。払込保険料の総額に対して解約返戻金が下回る可能性が高く、一般的な終身保険よりもその可能性が高くなります。
③貯蓄性が高い保険
保険料払込期間が満了した後は、解約返戻金が高まり、貯蓄性が高くなります。このため、長期的に保障を確保しつつ、資産形成にも寄与することが可能です。
積立利率変動型終身保険(変額終身保険)
積立利率変動型終身保険は、市場金利の変動に応じて一定期間ごとに積立利率が見直され、受け取る解約返戻金や保険金の額が変動する終身保険です。
主な特徴は以下の通りです。
①運用の変動性
市場金利が上昇すると積立利率も上がり、解約返戻金や保険金が増加します。保険料の一部は金融商品に投資されるため、保険金や解約返戻金は市場の動向によって変化します。
➁最低保証の設定
契約時に積立利率の最低保証を設けているため、積立利率が低下しても契約時に定めた保険金額が保証されます。これにより、万が一の場合でも最低限度の受取金額が確保できます。
③保険料の負担
一般的な終身保険に比べて保険料がやや高く設定される傾向があるため、保険料の負担を考慮することが重要です。
終身保険がおすすめな人の特徴
最後に、終身保険がおすすめな人の特徴について見ていきましょう。
終身保険の用途を理解した上で、どのような方に最適なのかを探っていきます。
将来の資産形成を重視したい人
将来の資産形成を重視したい人にとって、終身保険は有効な選択肢の一つです。
以下の2つの特徴を押さえておきましょう。
①長期的な視点
終身保険は、生涯にわたって保障が続くため、長期的な資産形成を考える方に適しています。保険料の一部が解約返戻金として積み立てられるため、将来的に資産を形成する手段となります。
➁安定した資産形成
解約返戻金は保険の契約条件に基づいて保証されるため、投資先の市場動向に左右されにくい特徴があります。リスクを抑えながら資産を積み立てたい方に向いています。
長期的な資産形成の方法には、NISAやiDeCoなどの選択肢もあります。
それぞれの特徴については以下の記事でまとめています。
老後に無理なく保障を続けたい場合
老後に無理なく保障を続けたい人にとって、終身保険は適した選択肢となります。
以下の3つのポイントが考慮すべき点として挙げられます。
①固定の保険料
終身保険では、契約時に設定された保険料が生涯にわたって一定のまま続くため、老後の収入が減少した際でも経済的負担を軽減できるメリットがあります。
➁保障の継続
終身保険は、被保険者が生存している限り保障が続くため、老後において万が一の備えとなります。また、死亡時には死亡保険金が遺族に支払われるため、家族への経済的支援を確保する手段としても機能します。
③貯蓄機能
終身保険には解約返戻金があり、保険料の一部が積み立てられます。老後に資金が必要になった際に解約返戻金を活用することができるため、貯蓄としての役割も果たします。
保険は万が一の備えとして重要です。
リスクヘッジのための保険には、所得補償保険や就業不能保険などもあるので、下記記事からチェックしてみてください。
まとめ
今回の記事のまとめです。
終身保険は、被保険者が生存している限り保障が続く生命保険です。
死亡または高度障害状態に対して保険金が支払われ、途中で解約した場合には解約返戻金が受け取れますが、その額が総払込保険料を下回ることもあります。
払込期間は、有期払または終身払を選べるため、ライフプランに応じた柔軟な設定が可能です。
主なメリットは、保障と貯蓄の両立であり、長期的な資産形成が可能ですが、デメリットとして保険料が高めである点にも注意が必要です。
終身保険には、変額終身保険や外貨建て終身保険などもあり、ニーズに合った保険選びが重要です。