『特別配偶者控除と一般の配偶者控除の違いとは?』
配偶者特別控除控除は、配偶者の所得に応じて納税者の税負担を軽減する制度である一方、一般的な配偶者控除や扶養控除とは適用条件が異なります。
各控除には、それぞれ異なる条件を満たす必要があるため、どの控除が該当するかを理解することが重要です。
本記事では、配偶者特別控除の基本的な仕組み、申請方法、適用条件について詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- 配偶者特別控除の概要
- 配偶者特別控除のメリットとデメリット
- 配偶者特別控除の申請方法
配偶者特別控除とは?基本的な仕組みを理解しよう
まずは、配偶者特別控除の基礎知識を確認しましょう。
配偶者控除や扶養控除と異なり、特別配偶者控除には独自の適用条件や控除額があるため、その条件を理解することが重要です。
配偶者控除と扶養控除の併用については、こちらの記事で詳しくまとめています。
配偶者特別控除の概要と目的
配偶者特別控除は、配偶者の年収が一定額を超えて配偶者控除が適用されない場合でも、配偶者の所得に応じて段階的に控除額が決まる公的制度です。
これにより、共働き世帯でも税負担を軽減することができます。
具体的には、配偶者の所得が48万円を超え133万円以下の場合、控除を受けることができます(給与収入では103万円超~201万円以下)。
控除額は配偶者の所得額に応じて異なり、年収が高くなるほど控除額は少なくなります。
配偶者特別控除の適用条件とは?
配偶者特別控除を受けるための要件は以下となります。
納税者本人の要件
納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であること。
配偶者の要件
・配偶者が民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は対象外)。
・控除を受ける人と生計を一にしていること。
・配偶者が事業専従者として給与を受けていないこと。
・配偶者の年間所得金額が48万円超133万円以下であること。
・配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除を適用していないこと。
上記の条件は令和6年12月時点のものです。
詳しくは、以下の参照サイトをご覧ください。
参照サイト
・No.1195 配偶者特別控除|国税庁
扶養控除との違い
配偶者特別控除と扶養控除はどちらも税負担を軽減する制度ですが、対象者や適用条件に違いがあります。
以下の表は、配偶者特別控除と扶養控除の違いをまとめたものです。
項目 | 配偶者特別控除 | 扶養控除 |
---|---|---|
対象者 | 配偶者(主に夫または妻) | 配偶者以外の扶養親族(16歳以上の子や親など) |
所得制限 | 配偶者の所得が48万円超~133万円以下(給与収入201万円以下) | 扶養親族の所得が48万円以下(給与収入103万円以下) |
控除額の変動 | 配偶者の所得額に応じて変動 | 扶養親族の条件(年齢や同居など)により固定 |
適用年齢 | 配偶者の年齢制限なし | 扶養親族は16歳以上 |
主な目的 | 配偶者の収入が一定範囲内である場合に控除を適用する | 配偶者以外の親族を扶養している場合に控除を適用する |
出典:国税庁『No.1180 扶養控除』より
配偶者特別控除のメリットとデメリット
次に、配偶者特別控除のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
これらを十分に理解した上で、配偶者特別控除を活用するかどうかを検討することが大切です。
メリット
配偶者特別控除を活用することで得られるメリットには、主に以下の3点があります。
①税負担の軽減
配偶者の所得に応じて、納税者の税負担が軽くなります。
➁所得税の還付
過去に支払った所得税が還付されると、可処分所得が増える可能性があります。
③家計の安定化
税負担の軽減により、家庭の経済的負担が減り、生活の安定が期待できます。
デメリット
一方で、特別配偶者控除にもデメリットがあります。
①適用条件の厳格さ
配偶者特別控除は、配偶者の所得が一定額以下でないと適用されません。
➁申請手続きの必要
控除を受けるには、確定申告や年末調整で手続きが必要です。
③所得額による減額
配偶者の所得が増えると、控除額が減少し、一定額を超えると適用されなくなります。
配偶者控除について気になることは、専門家に相談してみましょう!
配偶者控除について相談できるサイト
・家計見直しに特化したFP無料相談
特別配偶者控除の申請方法
最後に、配偶者特別控除の申請方法について見ていきましょう。
適用条件については第一章で解説した通りですので、この章では実際に申請するための具体的な手順について解説します。
確定申告と年末調整での申請方法
配偶者特別控除の申請方法は、主に以下の2つのパターンに区分することができます。
1. 年末調整での申請
給与所得者(サラリーマン)の場合、配偶者特別控除は通常、年末調整を通じて申請します。
申請手順
①年末調整用の扶養控除等申告書に記入します。
➁配偶者の所得金額を記入し、配偶者特別控除を申告します。
③会社の担当者に提出します。
年末調整で申告すると、税額が自動的に調整され、軽減分が給与に反映されます。
2. 確定申告での申請
給与所得者以外(自営業者など)や、年末調整で申告をし忘れた場合は、確定申告を通じて配偶者特別控除を申請します。
申請手順
①確定申告書(A様式)を記入します。
➁配偶者の所得金額を記入し、控除額を申告します。
③必要書類(配偶者の源泉徴収票や収入証明書)を添付し、税務署に提出します。
確定申告は自身で申告し、必要な書類を提出する必要があります。
申告期限と注意点
先ほどお伝えした通り、配偶者特別控除の申告方法には、年末調整と確定申告の2つのパターンがありますが、それぞれの申告期限を厳守する必要があります。
以下にそれぞれのポイントをまとめます。
年末調整
・申告書を12月の給与支払い前までに提出。
・提出しないと控除を受けられない。
・配偶者の所得や扶養状況を正しく記入する。
確定申告
・申告期間は毎年2月16日~3月15日。
・期限を過ぎると延滞税が発生する可能性がある。
・申告書と必要書類を税務署に提出する。
以下の記事では、年末調整や確定申告について詳しく解説していますので、合わせてご活用ください。
関連サイト
・可処分所得とは?年末調整の気になる悩み
・個人事業主の節税メリットを活用する確定申告のポイント
まとめ
今回の記事のまとめです。
配偶者特別控除は、配偶者の年収が一定額を超えて配偶者控除が適用されない場合でも、配偶者の所得に応じて段階的に控除が受けられる制度です。
控除を受けるためには、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であり、配偶者が納税者と生計を一にしていること、また配偶者の所得が48万円を超え133万円以下である必要があります。
さらに、配偶者が事業専従者として給与を受けていないことも要件となります。