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高額療養費制度の実例解説:自己負担限度額の適用をシミュレーションで学ぶ

Aki

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月々の医療費が高額になった場合にはどうしたらいいの?

突然の病気やケガで医療費が高額になると、不安を感じることもありますよね。

そんなときに活用したいのが「高額療養費制度」。

この制度は、1か月の医療費が一定の上限を超えた場合に、その超過分が払い戻される仕組みです。

ただし、「どれくらい還付されるの?」「本当に家計の負担が軽くなるの?」と疑問に思う方も多いはず。

本記事では、自己負担限度額の基本から、具体的なシミュレーション例、さらにスムーズな利用のための手続き方法まで、わかりやすくご紹介します。

この記事で分かること

  1. 高額療養費制度の概要
  2. 自己負担限度額の求め方
  3. 自己負担限度額の適用例

高額療養費制度とは?基本の仕組みをおさらい

まず初めに、高額療養費制度の基本をおさらいしましょう。

この制度は、1ヶ月の医療費が一定の額を超えた場合、その超過分が払い戻される仕組みです。

しかし、払い戻しを受けるためには、所得や家族構成に基づいて自己負担限度額が設定されているため、その条件等をこの章で確認していきます。

高額療養費制度の概要

高額療養費制度は、高額な医療費が発生した場合に、自己負担額が一定の限度額を超えた分を後から払い戻しを受けることができる制度です。

この制度により、急な医療費の負担が軽減され、経済的な負担を和らげることができます。

対象者は、日本の健康保険に加入しているすべての人で、会社員や自営業者をはじめ、すべての国民が利用可能です。

自己負担限度額とは?

自己負担限度額とは、医療費の支払いにおいて、患者が実際に支払うことになる上限額のことです。

高額療養費制度を利用する場合、この限度額を超えた部分については、後日払い戻しを受けることができます。

この限度額は、患者の所得や年齢などによって異なります。

例えば、収入が高い場合は自己負担限度額も高くなり、逆に収入が低い場合や高齢者には、限度額が低く設定されています。

自己負担限度額に関するコラム
自己負担限度額とは?70歳以上の医療費負担軽減の仕組み

制度を利用するメリット

高額療養費制度を利用するメリットには、主に以下の2つが挙げられます。

医療費負担の軽減
高額な医療費がかかった場合でも、自己負担額に上限があるため、安心して必要な治療を受けられます。

急な医療費に備えることができる
急な病気や事故で高額な医療費がかかる可能性に備えることができ、家計への影響を最小限に抑えることができます。

Aki
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急な病気や事故に備えるためにも、日頃から保険を最適化しておくことも大切です。

参照サイト
収入保障保険を活用したリスクマネジメント
定期保険でしっかり備える!生命保険の選び方とポイント

自己負担限度額の計算方法と決まり方

次に、自己負担限度額の計算方法について見ていきます。

自己負担限度額は、自身の所得や家族構成に応じて決まるため、同じ医療費でも、個々の状況によって負担額は異なります。

この章では、自己負担限度額がどのように算出されるのかを解説していきます。

所得区分による自己負担限度額の違い

自己負担限度額は、納税者の所得年齢家族構成に応じて異なります。

自己負担限度額の目安(70歳未満)

所得区分ごとに、月ごとの自己負担限度額が異なります。

年収に基づいた区分に分けられており、具体的な自己負担限度額の金額は以下の通りです。

1. 年収約1,160万円以上(標準報酬月額83万円以上)の場合
=252,600円 + (総医療費 - 842,000円) × 1%

2. 年収約770万円~1,160万円(標準報酬月額53~79万円)の場合
=167,400円 + (総医療費 - 558,000円) × 1%

3. 年収約370万円~770万円(標準報酬月額28~50万円)の場合
=80,100円 + (総医療費 - 267,000円) × 1%

4. 年収約370万円未満(標準報酬月額26万円以下)の場合
=57,600円

5. 住民税非課税世帯の場合
=35,400円

70歳以上の自己負担限度額

70歳以上の方は、所得区分に応じて自己負担限度額が異なりますが、70歳未満と比較して、一般的に低く設定されています。

ただし、75歳以上の方は後期高齢者医療制度に加入するため、自己負担限度額がさらに異なる点にご注意ください。

以下は、70歳以上74歳以下の方で、所得約156万円~370万円に該当する場合の自己負担限度額の目安です。

一般所得者の場合
外来:18,000円(月額)
外来+入院:57,600円(月額)

住民税非課税世帯の場合
外来:8,000円(月額)
外来+入院:24,600円(月額)

関連コラム
自己負担限度額とは?70歳以上の医療費負担軽減の仕組み

所得区分の決まり方

所得区分は、主に年収や標準報酬月額(給与等による報酬)を基に決まります。

一般的に、年収が高いほど所得区分は上位に分類され、自己負担限度額が高くなります。

一方で、年収が低いほど所得区分は下位に分類され、自己負担限度額が軽減されます。

また、住民税非課税世帯は、低所得の世帯に対する配慮として、特に低い自己負担限度額が設定されています。

参照コラム
高額な医療費を支払ったとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

世帯合算や多数回該当のルール

高額療養費制度では、医療費が高額になった場合、家族全員の医療費を合算して自己負担限度額を超えた分が払い戻されます。

そのため、以下3つのポイントに注意する必要があります。

合算できる場合

同じ健康保険に加入している家族の医療費は合算可能です。

複数の病院で受診した場合や、1つの病院で入院・通院等を繰り返した場合も合算できます。

同じ月に家族が別々の病気やけがで受診した場合も合算できます。

70歳未満と70歳以上の違い

70歳未満の場合、合算できる医療費は「自己負担が21,000円以上」のものに限られます。

70歳以上75歳未満の場合、金額制限はありません。

75歳以上の場合、後期高齢者医療制度に加入しているため、75歳未満の家族の医療費とは合算できません。

共働きの場合

夫婦がそれぞれ別の健康保険(勤務先の健康保険)に加入している場合、夫婦の医療費は合算できません。

Aki
Aki

合算のポイントは、同じ医療機関で1か月あたりの医療費が21,000円を超えた場合が対象となる点です。

参照コラム
高額な医療費を支払ったとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

自己負担限度額の適用例:シミュレーションで解説

最後に、自己負担限度額の適用例について解説します。

これまでお伝えしてきた通り、自己負担限度額は家族構成や所得によって異なるため、実際にどのくらいの金額になるのかをシミュレーションしてみたいと思います。

シミュレーション例:一般所得世帯での適用事例

高額療養費制度では、同一世帯内の医療費を合算できます。

ただし、70歳未満の人の場合、1か月あたりの自己負担額が21,000円以上の医療費が対象となります。

一般家庭のTさんを例に、医療費合算のケースを紹介します。


Tさん(48歳、男性、会社員)の世帯

家族構成
・妻(46歳、専業主婦)
・息子(18歳、大学生)
・父(75歳、年金受給者)
・母(73歳、無職)

医療を受けた人診療内容自己負担額合算備考
Tさん本人(48歳)腰痛治療(通院)12,000円×21,000円未満なので合算対象外
Tさん本人(48歳)腰痛治療(入院)75,000円
妻(46歳)肩こり治療(通院)8,000円×21,000円未満なので合算対象外
息子(18歳)骨折治療20,000円×21,000円未満なので合算対象外
父(75歳)糖尿病治療(通院)10,000円×75歳以上のため医療費合算不可能(後期高齢者医療制度)
母(73歳)高血圧治療(通院)15,000円70歳以上75歳未満のため医療費合算可能
図1:隆志さん世帯の医療費合算例

図1の表に基づくと、高額療養費として合算できるのは、原則として、自己負担額が21,000円以上の医療費70歳未満の扶養者の場合)です。

したがって、Tさん本人の75,000円、母の15,000円が合算され、合計90,000円が高額療養費制度の対象となります。

限度額を適切に把握するためには?

限度額を適切に把握するためには、以下5つの点を確認することが大切です。

所得区分の確認
所得に基づいた区分により自己負担限度額が異なるため、まず自身の所得区分を把握することが重要です。

年齢・扶養家族の確認
年齢や扶養家族の有無によって高額療養費制度の適用範囲が異なるため、家族構成を確認しましょう。

医療費の合算対象を確認
自己負担が一定額以上の医療費が合算対象となるため、どの医療費が合算できるかを確認することが必要です。

限度額適用認定証の取得
事前に限度額適用認定証を取得することで、窓口での負担が軽減されます。

具体的な計算方法の理解
医療費総額に基づいて計算される自己負担限度額を理解し、どのくらいの医療費まで自己負担となるかを把握することも大切です。

Aki
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さらに、ファイナンシャル・プランナー(FP)などの専門家に相談するのも有益な方法です。

FPに相談できるサイト
FP無料相談の保険チャンネル

まとめ

今回の記事のまとめです。

自己負担限度額は、医療費の月々の支払いにおける上限額で、患者の所得や年齢、家族構成に応じて異なります。

また、同一世帯内で扶養されている家族の医療費を合算でき、70歳未満の扶養家族の場合、自己負担額が21,000円以上の医療費が合算対象となります。