実は、シロアリによる損害も、雑損控除の対象になることをご存じですか?
日常生活で発生する予期せぬ損害に対して、雑損控除を活用することで、税負担を軽減できる可能性があります。
特にシロアリ被害など、突然の災害や事故による損害は家計に大きな影響を与えるもの。
この記事では、シロアリ被害を含む雑損控除の活用方法と、その他の日常生活で役立つ実例について解説していきます。
この記事でわかること
- シロアリ被害の損害と雑損控除の関係
- 雑損控除は活用できるのか
- 雑損控除のその他の活用例

雑損控除を日常生活でどのように活用できるか、学んでいきましょう。
シロアリ被害の損害と雑損控除の関係
雑損控除は、自然災害や盗難などによって生じた予期しない損害に対して、税金を軽減するための制度ですが、シロアリによる損害も対象になる場合があります。
ただし、これにはいくつかの条件があるため、まず初めに、シロアリ被害による損害と雑損控除の関係について見ていきましょう。

雑損控除は所得控除の一種ですよ!
シロアリによる損害は雑損控除の対象になるのか?
原則として、シロアリは害虫に該当し、雑損控除の対象となることがあります。
ただし、シロアリによる損害が雑損控除の対象となるかは、以下2つの条件に依存します。
シロアリによる損害が雑損控除の対象となる2つの条件
Ⓐ所有する不動産がシロアリによる被害を受けた場合
自己所有の不動産がシロアリによって損害を受けた場合、雑損控除が適用されます。
Ⓑシロアリ駆除を行った場合
被害を受けた不動産に対してシロアリ駆除を行った場合、その費用も控除の対象となりますが、予防目的で駆除を行った場合は対象外です。

シロアリ駆除は控除の対象となりますが、シロアリ予防は控除の対象外であるため、注意が必要です。
シロアリ駆除費用の相場って?
シロアリ被害にあった際、気になるのはシロアリ駆除費用です。
そこで、一般的な費用相場をいくつか挙げてみます。
シロアリ駆除や予防対策の費用は、家の状態や業者によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
1平方メートルあたりのシロアリ駆除費用: 約2,000円〜3,000円程度
例えば、100㎡(約30坪)の家の場合、シロアリ駆除費用は約20万円〜30万円が目安となります。

上記はあくまで費用の目安であり、料金の詳細は条件によって変動します。
参照サイト
・ミツモア『シロアリ駆除の費用相場はいくら?坪数だけじゃない金額が決まる要素』
駆除費用って全額計上できるの?
シロアリ駆除の費用は雑損控除の対象になりますが、全額計上できるわけではありません。
以下2つのポイントを押さえておきましょう。
①シロアリ被害を受けた後の駆除費用
実際に被害が発生し、その修復や駆除を行った場合、一定の条件を満たせば控除の対象になります。
②原状回復にかかる費用
被害を受けた部分の修復や補修工事の費用も対象となる場合があります。

上記①②の費用を雑損控除として計上します。
次の章では、その雑損控除の求め方などについて見ていきます。
合わせて読みたいコラム
・FPに相談するメリットとは?お金と保険の専門家だからできること
雑損控除の概要と活用方法
これまでお伝えした通り、雑損控除の対象となるのは、害虫被害に伴う費用などです。
この章では、雑損控除の概要とその活用方法について詳しく見ていきましょう。
雑損控除とは?基本的な仕組みを理解しよう
雑損控除は、自然災害や盗難、火災などによって実際に失われた財産に対して適用される所得控除です。
例えば、台風や地震、火災で家屋や家具が壊れた場合、その損失額を所得から差し引くことができます。
この控除を利用することで、一定の条件を満たす損失に対して、課税所得が減少し、結果的に支払う税金が軽減されます。
対象となる損害は?
雑損控除の対象となる損害は、自然災害や盗難、火災などによる財産の損失です。
具体的には、以下5つのような損害が対象となります。
①自然災害
台風、地震、洪水、土砂崩れなどによって家屋や家財が損傷した場合。
②火災
自宅や家財が火災で損害を受けた場合。
③盗難
盗難によって家財が失われた場合。
④暴風や雪害
突風や大雪によって建物や家財が損傷した場合。
⑤生き物による損害
シロアリやネズミ、イタチなどの害虫・害獣が家屋や設備に損害を与えた場合。

店舗併用住宅(1階店舗・2階住宅)の場合、住宅部分の損失は雑損控除の対象です。
FPに無料相談できるサイト
・家計見直しに特化したFP無料相談
雑損控除を利用するための条件とは?
雑損控除を利用するための条件として、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
①損害の程度が一定の基準を超えること
損害額は所得金額の10%を超える必要があります。
②損害額が保険などで補填されていないこと
損害が保険金で補填されている場合、その補填額を差し引いた残りの損害額に対して雑損控除が適用されます。
③確定申告を行うこと
損害が発生した年の翌年の確定申告期間に、必要な書類を提出して雑損控除を申請します。

適用条件について詳しく知りたい方は、以下のコラムをご参照ください。
参照コラム
・雑損控除の対象資産|特徴と適用条件とは?
雑損控除以外に活用できる公的制度って?
災害や盗難、事故などで損害を受けた場合、雑損控除以外にも活用できる公的制度があります。
この章では、雑損控除以外の身近な公的制度を2つご紹介します。

※損害を受けた場合に活用できる可能性のある公的制度をご紹介しますが、すべての損害に対応しているわけではありません。

生活福祉資金貸付制度(災害援護資金)
生活福祉資金貸付制度(災害援護資金)は、災害で住宅や家財に損害を受けた場合、生活再建に必要な資金を低利子または無利子で貸し付ける制度です。
具体的には、住宅の修繕費用や家財の購入費用などに充てることができ、支援を受けるためには一定の条件を満たす必要があります。
生活福祉資金貸付制度の3つのポイント
①低利子または無利子で貸付け(保証人なし、年利1.5%)
②貸付上限:250万円以内
③据置期間:最大2年
参照サイト
・復旧復興支援ナビ『生活福祉資金制度による貸付(緊急小口資金・福祉費(災害援護資金)』
被災者生活再建支援制度
被災者生活再建支援制度は、災害で住まいを失った方々を支援するためのものです。
住宅が全壊または大規模半壊した場合に支給され、支援金の額は被害の程度や世帯人数により異なります。
被災者生活再建支援制度の3つのポイント
①支援金は最大300万円まで。
②基礎支援金:災害発生日から13ヶ月以内に申請。
③加算支援金:災害発生日から37ヶ月以内に申請。
参照サイト
・内閣府『被災者生活再建支援制度の概要』

当サイトでは、暮らしに役立つ公的制度についても紹介しています。
ぜひあわせてご活用ください。
合わせて読みたいコラム
・教育訓練給付制度で取得できる資格とは?対象資格を詳しく解説!
・働きながら年金を受け取るには?在職老齢年金の仕組みを整理
まとめ
今回の記事のまとめです。
シロアリによる損害も雑損控除の対象となる場合があります。
自己所有の不動産がシロアリの被害を受けた場合、その修復費用や駆除費用は、条件を満たせば控除の対象となりますが、予防目的で行った駆除は対象外です。
また、シロアリ駆除後の修復費用や補修工事の費用も、一定の条件を満たせば控除の対象となるため、雑損控除に関する正しい知識を持つことが大切です。