地方移住を検討している方の中には、「空き家バンク」の利用を考えている方も多いでしょう。
空き家バンクは、地域への定住を促進するため、自治体が地元の空き家情報を集め、希望者に紹介して引き合わせる仕組みです。
ここでは、空き家バンクを利用するメリットと、利用時の注意点について見ていきましょう。
この記事で分かること
- 空き家バンクの仕組み
- 地方移住を検討する際の空き家バンクの活用法
- 空き家バンクを活用する際の注意点
そもそも空き家バンクとは?
そもそも空き家バンクとはどのようなものでしょうか。まずは、空き家バンクの仕組みについて見ていきましょう。
空き家バンクの仕組みと目的
空き家バンクの主な目的は、地域への移住・定住を促進し、地元に住む人を増やすことです。具体的には、空き家を売りたいまたは貸したい所有者から登録を受け付け、自治体(主に市や町)が公式サイトに空き家バンクのページを設けて情報を公開します。
物件情報を見た人が住みたいと申し出た場合、自治体は所有者に紹介します。ただし、自治体は不動産契約業務を行っていないため、契約は委託された宅建業者や不動産会社を通じて行います。
物件探しの窓口:どこに相談する?
では、空き家バンクで物件を探すには、どこに相談すればよいのでしょうか。
この章では地方自治体の役割について見ていきましょう。
自治体の窓口とその役割
空き家バンクを運営しているのは、主に自治体です。最近ではこの他に、民間団体やNPOなど行政以外が運営を担うケースや、行政と企業やNPOが連携して運営するケースも増えています。
地方自治体の役割には、以下の3つがあります。
①相談窓口の設置
地方自治体は空き家バンクに関する相談窓口を設け、物件に関する問い合わせや登録希望者のサポートを行います。これにより、利用者はスムーズに情報を得ることができます。
➁移住・定住支援
移住や定住を希望する人々に対しては、空き家の情報だけでなく、地域の生活環境や利用可能な支援制度についても詳しく提供します。これにより、移住者が新しい地域に適応しやすくなります。
③地域の活性化
空き家の活用を通じて地域の活性化を図り、地域内の空き家問題の解決に努めます。地域の魅力を高めるとともに、地域社会の持続的な発展に貢献します。
空き家バンクを利用した移住のメリット
では、空き家バンクを利用することのメリットは何なのでしょうか。
空き家バンクは、家を探している人、空き家の処分に悩む所有者、そして自治体の三者にメリットがあります。
移住先としての空き家物件の可能性
移住先として空き家バンクを利用すると、低コストでの移住が可能です。空き家バンクは営利目的で運営されていないため、仲介手数料がかからず、新しく土地を取得して新築するよりも、格安で家を購入したり借りたりすることができます。
このように、空き家バンクを利用することで低コストでの移住が実現できるメリットがありますが、ここでは、家を探している人、空き家の処分に悩む所有者、そして自治体の三者それぞれのメリットをご紹介します。
空き家バンクを利用する人のメリット
空き家バンクを利用することで、低コストで住居を取得できるのが大きな利点です。仲介手数料が不要なため、経済的な負担を軽減しつつ、地域内の多様な物件から自分の希望に合った住居を選ぶことができます。また、移住先の地域に関する生活環境や支援制度の情報も提供されるため、新しい生活の準備がしやすくなります。
空き家の処分に悩む所有者へのメリット
空き家の処分に悩む所有者にとって、空き家バンクは迅速な売却や賃貸の機会を提供します。仲介手数料がかからないため、コストを削減しつつ効率的に物件を処分できるのがメリットです。さらに、空き家が地域で活用されることで地域貢献にも繋がり、地域の空き家問題の解決に寄与することができます。
地方自治体へのメリット
空き家バンクを通じて地域の活性化を図ることができます。空き家の利用促進により、地域の人口増加や活性化が進み、空き家問題の解決にも寄与します。また、仲介手数料が不要なため、予算を他の地域活性化施策に振り向けることができ、行政コストの削減にも繋がります。
地方移住を検討されている方には、以下の記事で詳しくまとめています。
田舎への移住にはメリットとデメリットがそれぞれ存在するため、両方の特徴をしっかり把握しておきましょう。
空き家バンクを利用するまでの流れ
実際に空き家バンクを利用するには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。この章では、利用開始までの大まかな流れを解説します。
物件を取得するまでの3ステップ
物件を取得するまでの3つのステップを以下にまとめます。
①物件情報を確認し、条件の合う物件を見つける
まず、空き家バンクのウェブサイトや役所の窓口で登録されている物件の情報を集めます。築年数や間取り、家賃、リフォーム状況などを確認し、自分の条件に合う物件を探しましょう。気になる物件があれば、担当者に連絡を取ります。
➁現地見学で物件の状態を確認する
希望の物件が見つかったら、現地に赴き、内見を行います。築年数が経過している物件は、老朽化が進んでいる可能性があるため、細部までしっかりと確認することが重要です。
③所有者と賃貸借契約を結ぶ
現地見学で物件の状態に問題がなければ、空き家バンクが仲介に入り、所有者と賃貸借契約を結びます。契約書には、家賃、契約期間、リフォームの条件などが明記されるため、内容をよく確認して契約を進めましょう。
空き家バンクを利用する際の注意点
最後に、空き家バンクを利用する際の注意点について見ていきましょう。
内見時の注意点と確認すべき事項
空き家バンクの物件は、長期間放置されていたり老朽化が進んでいることが多いため、現地確認が欠かせません。インターネット上の情報や写真だけでは、物件の正確な状態を把握するのは難しいため、必ず現地で直接確認しましょう。
現地では、建物の外観だけでなく、内部も詳細にチェックすることが重要です。特に、壁や床、天井に亀裂やシミ、カビがないか、建具が正常に開閉するかを確認しましょう。
また、物件を取得する際には、地域のルールや規制を確認し、物件の権利関係にも注意を払う必要があります。抵当権や差押えなどの制限がないか、境界や地盤に問題がないかをしっかりと調査し、法的トラブルを未然に防ぎましょう。
まとめ
今回の記事のまとめです。
空き家バンクの主な目的は、地域への移住・定住を促進し、地元住民を増やすことです。具体的には、空き家を売りたいまたは貸したい所有者からの登録を受け付け、自治体が公式サイトで情報を公開します。
空き家バンクは主に自治体によって運営されており、営利目的ではありません。そのため、仲介手数料がかからず、低コストでの移住が可能です。
しかし、物件を利用する前には、実際に物件を内見するなど、現地での確認を行うことが重要です。