「田舎暮らし」と聞くと、どのようなイメージを持たれますか?
田舎暮らしはライフプランの一つとして考えられますが、その生活にはメリットだけでなくデメリットも存在します。
筆者はもともと人口1万人にも満たない地方出身で、田舎暮らしを長く経験してきました。
田舎暮らしの経験者として、地方ならではの良さや問題点を紹介し、田舎暮らしの実態をお伝えしたいと思います。
この記事で分かること
田舎暮らしのメリットとデメリット
田舎暮らしと聞くと、良いイメージを持つ人もいれば、悪いイメージを抱く人もいます。
当然ですが、田舎暮らしにはメリットとデメリットが共存しています。
まずはそれぞれのポイントを整理していきましょう。
田舎暮らしのメリットとは?
まずは、田舎暮らしのメリットを4つ挙げてみます。
①のんびりとした生活
都会の喧騒から解放され、のんびりとした生活を送ることができます。通勤ラッシュや騒音が少なく、ストレスの少ない環境で心身をリラックスさせることができます。
➁自然との調和
自然が身近で、澄んだ空気や美しい風景が四季折々楽しめるメリットがあります。森林、川、海が日常に広がり、自然の美に触れる機会が増えます。
③コミュニティの結びつき
人付き合いや地域社会との結びつきが強い特徴があります。地域の人々との温かい関係や助け合いの文化が身近に感じられます。
④地産地消の機会
農家が作るお米や野菜が身近にあり、地元の食材に触れる機会が豊富です。自然との一体感を感じながら、栽培や収穫、食べることの実体験ができます。
田舎暮らしの良いところは、都会の騒々しい生活から離れて、静かな環境で暮らせることです。自然の美しい風景や四季の移り変わりを身近に感じながら、のんびりとした時間を過ごせます。
また、田舎ならではの農作業に参加することで、作物がどのように成長し、収穫されるのかを体験できます。自然の恵みを直接感じることができるのも魅力の一つです。
便利な世の中だからこそ、田舎の日常はそこに潜む労力や時間を感じさせ、その中での生活のリアリティを実感できます。
田舎暮らしのデメリットを知ろう
次に、田舎暮らしのデメリットを挙げてみましょう。
➀交通の不便さ
田舎地域では公共交通機関が十分に発展していないことがあり、車が必要不可欠な場合があります。そのため、車を所有していない場合や運転が苦手な場合、移動が難しくなることがあります。
②仕事機会の制限
田舎暮らしでは仕事の選択肢が制限されてしまうことがあります。地方には企業が少なく、都会と比べると仕事の選択肢が限られてしまう傾向があります。
③医療機関までの距離
一部の田舎地域では医療機関が限られており、病院やクリニックまでの距離が遠い場合があります。そのため、定期通院や緊急時の利用において、利便性が低下する可能性があります。
④田舎特有の自治会制度
田舎では人口が少ないため、自治会での役割や負担が一人当たりで大きくなることがあります。例えば、地域行事の準備や地元消防団への加入などがその一例です。
田舎暮らしのデメリットは、交通、仕事、医療機関などのインフラ不足にあります。都会と比較すると、人口が少ないために必要な施設やサービスが不足しており、利用者にとって選択肢が限定されることが避けられません。
また、田舎特有の自治会制度は、高齢化が進み、若者離れが進んでいるため、役員一人一人の負担が増えてしまうことがあります。
田舎暮らしを考える上での重要ポイント
田舎暮らしを考える上でのポイントを押さえておきましょう。
田舎暮らしに向いている人の特徴を知っておくことで、自身の長所を生かせることができます。
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田舎暮らしに向いている人とは?
田舎には都会と異なる生活スタイルがあり、誰にでも向いているとは限りません。
では、どういう人が田舎暮らしに向いているのでしょうか。
以下のような条件を満たす人が、田舎暮らしに向いている傾向があります。
①社交的な人
田舎では地域社会との交流が重要です。そのため、親しみやすく社交的な性格が求められる傾向があります。
➁不便を快適を思える人
不便を快適と受け入れられる人が田舎暮らしに向いています。田舎暮らしでやりたいことなどを明確にすることにより、その土地での経験や活動が充実感を生みます。
③自主的に楽しみを見つける人
田舎には娯楽施設が少ないため、自分で新しい趣味や楽しみを見つけられる柔軟性が必要です。地域のユニークな魅力を発見し、楽しい瞬間を生み出せる人などが適しています。
田舎暮らしを不便と感じるか、それともライフステージの充実を求めるかは、まず考え方がカギとなります。田舎暮らしに利便性を求めると、どうしても物事がうまくいかないことがあります。しかし、考え方や生活の工夫でこれらの悩みも解決できる可能性があります。
田舎暮らしを始める前に知っておきたい地域情報
いきなり田舎に移り住むのには抵抗がありませんか?
もともと地方出身で、田舎暮らしを経験したことがあれば別ですが、初めての田舎暮らしは不安がつきものです。
特に都会の暮らしと大きく異なるのが、衣食住に伴うインフラです。
この章では、田舎暮らしを始める際に必要な地域情報についてご紹介します。
交通・アクセス情報
田舎暮らしを検討する際に、交通・アクセス情報は非常に重要です。
以下に具体的な例を挙げて説明します。
- 公共交通機関の利用
田舎では鉄道やバスの本数が都市部と比較して限られることがあります。例えば、山間部や離島ではバスが主要な交通手段となります。具体的な例として、島根県の離島である隠岐諸島では、島内のバスやフェリーが主な移動手段となっています。 - 自家用車の必要性
田舎では自家用車が必要な場合があります。特に広大な地域やアクセスが限られた場所では、自動車が唯一の移動手段となります。例えば、北海道の一部地域では冬季に積雪が多く、車が不可欠となります。 - 共同移動サービスの有無
近年、地方においても共同移動サービスが普及しています。Uberや地域密着型のタクシーサービスが、公共交通機関が不足している地域で利用されています。例えば、山梨県の一部地域では地域住民が運行する共同移動サービスが提供されています。
田舎暮らしと都会暮らしの大きな違いの一つは、交通インフラの不足です。
筆者が住んでいた田舎では、町からのアクセスは車を除けばタクシーまたは町バス(2時間に1本の運航)だけに限られるため、とても不便な状況でした。
しかし、最近では地方活性化に力を入れる自治体も増えています。例えば、一般市民ドライバーが住民を運ぶサービスを展開する自治体もあります。
今後、こうした自治体の増加により、地方の交通インフラの不足課題に対する解決策が提供される可能性があります。
地方の交通・アクセス情報は都心と比較すると、不便に感じられることがあります。
しかし、田舎暮らしは必ずしも不便とは限りません。
重要なのは、この点を考慮した上での解決方法です。
地域イベントの楽しみ方
地域のイベントも、移住を考える上で重要な要素です。
そのため、地域イベントを上手に活用しましょう。
地方では、農産物に関連したイベントが盛んで、秋の収穫祭では新鮮な野菜や新米が振る舞われ、地元農家との交流の場となっている場合があります。畑での作業や稲刈りの手伝いを通して、食べ物の生産過程を直接体験することで、食べ物が一層美味しく感じられます。
また、地元の農産物を使った郷土料理も提供され、地域の味覚に触れることができるのは、田舎暮らしの魅力です。
筆者の住んでいた島根県では、岩見神楽の文化が地域に深く根付いており、その伝統が祭りや地区の文化祭で活気づいていました。神楽の舞や奉納行事は地域の人々にとって非常に重要なイベントであり、地域社会の一体感を醸し出していました。
田舎暮らしでは、様々なイベントや伝統行事が豊富にあります。これらを上手に活用することで、田舎暮らしの魅力が一層引き立ちます。
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田舎暮らしの住まい選びポイント
ここからは、田舎暮らしの住まい選びのポイントを見ていきましょう。
物件選び
田舎暮らしを始めるにあたり、まずは居住地を確保する必要があります。
ですが、知らない地方でいきなり一軒家を購入するのには抵抗がありませんか?
なので、まずは賃貸契約で物件を気軽に借りるのがお勧めです。その理由として、もしもその地域が自分に合わないと感じた場合、撤退を検討することが可能です。
具体的な要因として、地方暮らしでの収入源の減少や、田舎付き合いが向いていないなどが挙げられます。こうした状況に対処するために、まずは家を購入する前に賃貸での生活を始めることで、柔軟に対応できます。さらに、もしも退去が必要になった場合も、手続きが比較的簡単であるためです。
また、一つの方法として、各都道府県の空き家バンクを利用する方法もあります。ネット上で簡単に田舎の家や土地が見つかるため、一般の物件サイトと同じような感覚で探すことができます。通常の物件サイトでは都心部の物件が中心ですが、空き家バンクでは自然に囲まれた郊外の物件も見つかりやすい特徴があります。
空き家バンクについては以下の記事でまとめています。
病院・医療機関
医療機関をチェックしておくのも大事なポイントです。田舎地域では都市部に比べて医療機関の数が限られていることがあり、また、アクセスや提供される医療サービスの範囲も異なることがあります。
そのため、以下の2点を事前に抑えておくことで、それらのリスクに対処することが可能です。
- アクセスの利便性
田舎では都市に比べて医療機関へのアクセスが限定されることがあります。病院やクリニックの位置や距離、交通手段の有無を確認し、緊急時や通院の際に役立てることが重要となります。 - 医療サービスの提供範囲
一部の田舎地域では、高度な医療サービスが利用できない場合があります。そのため、専門的な医療が必要な場合は、近隣の都市に通院する必要性があります。
ライフラインとして医療機関は必ず必要になります。緊急時はもちろん、定期通院なども居住県内に近い場所が理想ですが、そうでない場合にはあらかじめ対策を考えておくと良いでしょう。
田舎暮らしを成功させるコツ
田舎暮らしを成功または快適にするためには、適切な情報の活用と適度なコミュニケーションが大切です。
この章では田舎暮らしを成功させるコツについてみていきたいと思います。
補助金を調べておく
移住前に自治体の補助金を調べておくことは非常に重要です。
自治体によっては、移住者や新規住民に対して様々な補助金や支援制度を提供しています。
以下に、移住者が利用可能な補助金や支援制度をいくつか挙げます。
住宅補助金
移住者が住宅を購入する際に補助金や低利融資を受けることができる制度です。
リフォームやエコリフォームに対する補助金も提供されていることがあります。
就業・雇用支援
移住者が地域内での就業機会を得るための支援制度です。
求職者への支援や職業訓練などが含まれます。
子育て支援
子育て中の家族のための支援制度です。
子育て手当、育児休業制度、保育・幼稚園の補助、子育て支援センターなどが含まれます。
地域振興・観光支援
地方自治体が地域振興や経済活性化のために移住者に対して支給する補助金です。
地域イベントや観光資源の開発に関連する支援がある場合があります。
農業・農村振興支援
田舎移住で農業に携わりたい場合に活用できる支援制度です。
地域の農業振興プロジェクトに参加するための支援があることもあります。
調査対象の自治体のホームページや、移住者支援担当の窓口で具体的な情報を入手しましょう。また、地域のコミュニティや地元住民との交流を通じて、補助金や支援に関する情報を得ることも有益です。
筆者は島根出身ですが、島根県には「くらしまねっと」というポータルサイトがあります。
このような各地方自治体のホームページには、移住者向けの情報が詳細に記載されています。
コミュニケーションの重要性
田舎暮らしにおけるコミュニケーションの重要性は、都会暮らしとは異なる要素があります。
以下にそのいくつかの側面を説明します。
- 地域社会への役割
田舎では人口が減少傾向にあるため、地域社会への貢献が重要視されます。そのため、近隣住民との良好な関係を築くことで、地域の一員として認められ、助け合いや協力が生まれやすくなります。 - 地域イベントや行事への参加
田舎では様々な地域イベントや行事が行われます。これらのイベントに参加することで、他の住民との交流が深まり、地域コミュニティにおける自分の役割も見つけやすくなります。 - 安心・安全の確保
田舎では、防犯や災害時の対応など、地域全体での安心・安全の確保が求められます。隣近所とのコミュニケーションが密接であることで、有事の際には早期かつ効果的な対応が可能となります。
田舎暮らしの特長の一つは、地域住民との結びつきが強くなることです。良好な関係を築くことで、有事の際には早急かつ効果的な対応が得られるメリットが生まれます。
田舎暮らしの仕事術
最後に、田舎暮らしの仕事術について解説したいと思います。
田舎暮らしでは、働き方が限られ、思った以上に収入を増やすことが難しい場合があります。
そのため、WEBやITスキルを身につけておくことは、収入を増やす有効な手段となります。
以下にその理由を挙げてみます。
- 場所に縛られず所得を上げる
WEBやITスキルを活用することで、場所に縛られずに仕事を進めることができます。地理的な制約を受けず、自分に適した場所で仕事を行うことが可能です。 - 好きな時間に働くことが可能
インターネットを通じた仕事は時間や場所に柔軟に対応できるため、好きな時間に働くことができます。生活のリズムや優先事項に合わせて効率的に仕事を進めることが可能となります。 - パソコン1台でスキルが身につく
WEBやIT関連の仕事は、基本的にパソコン1台で行えることがメリットです。オンライン学習を通じてスキルを身につけ、仕事に活かすことができます。
これらの理由から、田舎暮らしをする際には、WEBやITスキルが自身を支える収入源となることがあります。
下記記事ではWEBやITスキル、その他資格取得について述べています。
WEBやITスキルに限らず、資格取得は資産形成において自身の大きな武器となります。
まとめ:田舎暮らしの特徴を理解し、不安を取り除きましょう。
今回の記事のまとめです。
田舎暮らしのメリットとして、都会の騒々しい生活から離れて、静かな環境で暮らせることが挙げられます。自然の美しい風景や四季の移り変わりを身近に感じながら、のんびりとした時間を過ごすことができます。
田舎暮らしのデメリットは、交通や仕事、医療機関などのインフラ不足にあります。都会と比較すると、人口が少ないために必要な施設やサービスが不足しており、利用者にとって選択肢が限定される傾向があります。
田舎暮らしを検討する際には、事前の準備と適切な計画が必要です。移住を検討する地方の補助金や支援金を活用することで、移住生活の負担を軽減することができます。
また、WEBやITスキルを身につけておくことで、地方移住における収入の不安を解消することができます。
総じて、田舎暮らしは自然やのどかな雰囲気を楽しむことができますが、生活インフラや慣れない環境に対応するためには柔軟性と準備が必要です。