住宅ローンを組む際に、多くの人が選ぶ「元利均等返済」。
月々の返済額が一定であるため、安定した返済計画が立てやすいというメリットがあります。
しかし、その一方で、返済初期に利息が多く、総返済額が増える可能性があるなど、注意すべき点も存在します。
本記事では、元利均等返済の基本的な仕組みや、メリット・デメリットについて詳しく解説し、住宅ローン選びの参考となる情報をお届けします。
この記事で分かること
- 元利均等返済の仕組み
- 元利均等返済の住宅ローンのメリットとデメリット
元利均等方式の住宅ローンとは?
住宅ローンの返済方法には、主に「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。
まずは、元利均等返済の仕組みや特徴を、元金均等返済と比較しながら見ていきましょう。
元利均等返済の特長
元利均等返済は、月々の支払い額が一定であるため、安定した返済計画を立てやすい一方で、初期段階では元本が減少しにくい点があります。
元利均等返済の特徴は、主に以下の2点です。
①月々の返済額が一定
元利均等返済の最大の特徴は、返済期間を通じて月々の返済額が一定であることです。毎月の返済額は、借入額、金利、返済期間を基に計算され、返済が進んでも金額に変動はありません。このため、家計の管理がしやすく、計画的に返済を進められる点が大きなメリットです。
➁初期の返済額の大部分が利息に充てられる
返済の初期段階では、月々の返済額のうち利息が多くを占め、元本の減少は比較的遅くなります。この点は元利均等返済の特徴として避けられません。そのため、返済初期に負担が大きく感じることがありますが、返済が進むにつれて元本に充てられる金額が増えていきます。
元利均等返済を選ぶ理由とは?
元利均等返済を選ばれる理由は、大きく分けて以下の2つです。
詳細については次章で解説しますが、ここでは簡単に触れておきます。
①将来の収入予測がしやすい
元利均等返済では、毎月の支払い額が一定であるため、将来的な支出予測を立てやすく、ライフプランに合わせた調整がしやすくなります。長期にわたる返済でも、ライフステージに応じて他の支出や貯蓄とのバランスを取りながら返済を続けることができます。
➁金利の変動リスクを低減
元利均等返済は、返済額が一定であるため、金利の変動による影響を受けにくいという特長があります。金利が上昇しても毎月の返済額は変わらず、計画的に返済を進めることができます。このため、金利の変動を心配せずに安定した返済ができる点が選ばれる理由の一つです。
元利均等返済の返済額の計算方法
元利均等返済の返済額の計算方法はやや複雑ですので、以下に3000万円の住宅ローンを例にとり、実際の計算方法を示します。
借り入れ条件
借入金額3,000万円(30,000,000円)
年利2.5%(0.025)
返済期間30年(360ヶ月)
元利均等返済の計算式は以下の通りです。
元利均等返済の計算式
A=P×(1+r)n−1r(1+r)n
A は月々の返済額
P は借入金額
r は月利
n は返済回数(月数)
計算結果は以下の通りとなります。
月々の返済額: 約118,536円
支払利息の合計額: 約12,673,057円
総返済額: 約42,673,057円
これはあくまで一例です。
詳しくはファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談してみましょう。
元利均等返済のメリット
次に、元利均等返済の住宅ローンのメリットについて見ていきます。
先ほどの章で少し触れましたが、元利均等返済の大きなメリットの一つは、月々の返済額が固定される点です。
この月々の支払額の固定により、どのようなメリットがあるのかを具体的にお伝えしていきます。
計画的な返済が行える
元利均等返済の最も大きな特徴は、返済額が毎月一定であることです。
この特徴により、次の3つのメリットが得られます。
①月々の返済額が固定
初期段階では利息部分が多く、元金返済が少ないため、返済額が比較的低く抑えられます。そのため、生活費に余裕を持たせることができ、家計の負担を軽減できます。
➁返済計画が立てやすい
ローンを借りた時点で返済期間と返済額が決まっているため、長期的な支払いスケジュールが明確になります。このため、今後何年後にどれだけの金額を支払うのかが予測でき、返済に対する不安が軽減されます。
③固定支出に基づいた生活設計が可能
返済額が一定であるため、支出の管理がしやすくなります。さらに、将来の大きな支出に備えた貯金計画を立てる際にも、予測可能な返済額を基に計画を立てることができ、全体的な生活設計がしやすくなります。
元利均等返済のデメリット
反対に、元利均等返済にはデメリットもあります。
支払金額が固定され、初期の返済額が元金均等返済と比べて低いという特徴がありますが、その一方で返済総額が多くなるというデメリットがあります。
元金均等返済については、以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
総返済額が多くなる可能性がある
元利均等返済では、返済額が毎月一定ですが、初期の支払額のほとんどが利息に充てられ、元金の返済は少なくなります。
このため、返済の初期段階では元金があまり減らず、利息の支払いが長く続きます。
その結果、総返済額(借入金額に対する最終的な支払い額)は、元金均等返済に比べて多くなる可能性があります。
一方、元金均等返済では元金を均等に返済するため、返済初期から元金が早く減少し、利息の支払いも少なくなります。
これにより、総返済額を抑えることができます。
ローン完済までの期間が長く感じる
元利均等返済では、毎月の支払い額が一定であるため、最初のうちは元金があまり減らず、ローン完済までの期間が長く感じられます。
特に、住宅ローンを早期に終わらせたいと考えている人にとっては、30年近くにわたる長期間の返済が精神的な負担となることがあります。
このように、返済の進行が遅く感じられるため、返済終了を待つことが辛くなる場合もあります。
返済を早期に完了したい場合は、繰り上げ返済を検討するなど、他の返済方法と比較して最適なプランを選ぶことが大切です。
繰り上げ返済については、FPに相談してみましょう。
返済額や利息軽減効果を具体的に算出し、最適なプランを提案してもらえます。
まとめ
今回の記事のまとめです。
元利均等返済は、月々の返済額が一定であるため、安定した返済計画が立てやすい点が特徴です。
しかし、初期段階では返済額の大部分が利息に充てられ、元本の減少が遅くなるため、総返済額が多くなる可能性があります。
将来の収入予測がしやすく、金利の変動リスクも低減できる一方で、繰り上げ返済を検討する場合はファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみましょう。