近年、自転車保険の義務化が進んでいるのをご存知でしょうか?
自転車保険加入が義務である地域で保険に加入しなかった場合、条例による罰則はありませんが、自転車事故による損害賠償は数千万円になるケースもあるため、自転車保険への加入は必要です。
この記事では、自転車保険にネットで加入する方法と、コンビニで加入する方法について、補償内容とそれぞれのメリットデメリットを比較しながら解説します。
この記事で分かること
- 自転車保険の重要性
- 自転車保険の加入方法:ネット保険
- 自転車保険の加入方法:コンビニ保険
自転車保険 なぜ必要?
自転車保険はなぜ必要なのでしょうか?もちろん、不測の事故に備えるためですが、それに加えて、近年では各自治体によって自転車保険の義務化が進んでいるためでもあります。
義務化(23都道府県) | 宮城県、秋田県、山形県、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、 兵庫県、奈良県、愛媛県、福岡県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県 |
努力義務化(11都道府県) | 北海道、青森県、茨城県、千葉県、富山県、和歌山県、鳥取県、徳島県、香川県、高知県、佐賀県 |
条例無し(13都道府県) | 岩手県、新潟県、福島県、栃木県、石川県、福井県、岐阜県、岡山県、広島県、島根県、山口県、長崎県、沖縄県 |
参考資料:国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について」
自転車保険の義務化と罰則
令和5年4月1日時点で、42都道府県において自転車保険の加入が義務化されています。
義務化された地域で自転車保険に加入しない場合、条例による罰則はありません。しかし、自転車で他人にケガをさせた場合、刑事上・民事上の責任を負う可能性があります。
「自転車だから大きな事故にはならない」と思いがちですが、実際には自転車による死亡事故や重傷事故も発生しています。場合によっては、数千万円~数億円近い損害賠償請求を受けることもあります。
したがって、条例の有無に関係なく、自転車保険に加入して事故に備えることが重要です。
自転車保険の対象者
自転車保険義務化の対象者は次の通りです。
- 日常生活で自転車を利用している個人
- 未成年者の保護者(自転車を利用する子を持つ保護者)
- 事業活動のために自転車を利用している事業者
- 自転車販売店
- 自転車貸し出し業者
自転車は自動車と異なり、免許が不要で運転できる乗り物ですが、道路交通法においては軽車両に該当し、交通ルールを守る必要があります。
自転車保険の種類と特徴
自転車保険の種類とその特徴を理解することは、有事の際のリスクヘッジだけでなく、乗車者の安全を守る上でも重要です。そのために、どのようなケースでどの補償が適用されるかを押さえておきましょう。
自転車保険の補償内容
一般的に、自転車保険には以下の3つの補償が含まれています。
①個人賠償責任補償(自身以外に対する補償)
自転車を使用して他人にケガや財産の損害を与えた場合に、その損害賠償責任を補償します。例えば、歩行者や他の車両との接触事故で発生した損害が含まれます。
➁傷害補償(自身等に対する補償)
自転車事故によりケガを負った際の医療費や入院費、さらには死亡した場合の遺族に対する損害賠償をカバーします。また、傷害による後遺障害に対する一時金なども含まれます。
③車両補償(盗難、破損などの自転車単体の補償)
自転車の盗難や破損、事故による修理費用や交換費用を補償します。特に高額な自転車を所有している場合や、自転車をビジネスで利用している場合に重要な保障です。
一般的に販売されている自転車保険では、事故で他人に損害を与えた場合の個人賠償責任保険と、自分自身のケガに備える傷害保険がセットで提供されています。個人賠償責任保険に加入していれば、自治体が義務化する自転車保険への加入要件を満たしますが、個人賠償責任保険だけでは、自転車事故で自身がケガをした際の補償は受けられません。そのため、一般的に販売されている自転車保険は、傷害保険が含まれた補償内容となっています。
個人賠償責任保険と傷害保険はセットで、自身と他人への補償をカバーします。そして車両補償を加えることで、保険範囲が広がりますね。
自転車保険の加入に必要な条件と加入場所
自転車保険の加入条件と加入場所は以下の通りになります。
加入条件:
一般的な自転車保険の加入条件には、年齢や健康状態に関する特定の制限はありません。通常、自転車を所有していることが基本条件となります。加入の際には保険会社によって異なる詳細な条件を確認することが重要です。
加入場所:
インターネットやサイクルショップ、自転車整備店、コンビニエンスストア、保険代理店などで自転車保険に加入することができます。保険を比較検討する場合は、インターネットが便利ですが、適切な保険を選ぶには情報収集が必要です。サイクルショップやコンビニエンスストアでは手軽に加入できますが、契約できるのはその店で提携している保険会社の商品のみです。専門家に相談して自身に合った補償内容を確認したい場合は、保険会社や保険代理店への訪問がおすすめです。
ちなみに、TSマークという印をご存知でしょうか? 自転車の点検整備を専門家が行い、それが完了すると「TSマーク」が付けられ、賠償責任保険や傷害保険が付帯されます。
ネット保険とコンビニ保険の比較
では最後に、自転車保険のネット保険とコンビニ保険の双方について見ていきたいと思います。
ネット保険で自転車保険に加入
近年の自転車保険は、ほとんどがインターネットから加入できるようになっています。大手携帯キャリアのNTTドコモ、au、ソフトバンクは、自社のユーザー向けに自転車保険を販売しています。携帯端末からの操作で契約・解約手続きが簡単にでき、保険料は月々の電話代と一緒に引き落とされるので、支出の管理がしやすいというメリットがあります。
以下に、ネット保険で自転車保険に加入する特徴をまとめます。
ネット保険のメリット
①複数のプランを比較できる
保険会社のウェブサイトや比較サイトで複数の保険プランを比較できます。
➁割引特典が受けられる可能性がある
オンライン限定の割引やキャンペーンが適用されることがあります。
③支払い方法を選択できる
クレジットカード、銀行振込、コンビニ払いなど、自身のライフプランに合わせた支払い方法が選択可能です。
ネット保険のデメリット
①契約内容を自身で把握する必要性
事故やトラブルが発生した場合、すぐに対面での相談ができないため、契約者自身で契約内容をしっかり確認しなければなりません。
ネット保険で自転車保険に加入するメリットとして、複数の保険会社のプランを比較できる点、また割引特典、支払い方法の選択が挙げられます。ネット保険は24時間いつでも加入できる利便性がありますが、信頼できる保険会社を選定する技量が必要になります。
コンビニで自転車保険に加入
次にコンビニで自転車保険に加入する場合をみていきます。
コンビニの自転車保険は手続きが簡単で便利ですが、補償内容の理解不足には注意が必要です。
コンビニの自転車保険の特徴を以下にまとめます。
補償内容
個人賠償責任保険と傷害保険が既存でセットになっている。
支払い方法
即時決済が可能。コンビニの端末機で申し込み手続きが完了すると払込票が印刷され、それをレジで支払うだけで手続きが完了します。
コンビニ保険のメリット
コンビニの端末を使って自身で行うため、保険会社との対面手続きは不要で、自分のペースで手続きができます。また、口座情報やクレジットカード情報が不要で、払込票を持ってコンビニで支払うだけで完了する手軽さが大きな魅力です。
コンビニ保険のデメリット
説明不足のリスクが伴います。手続きが簡単な反面、補償内容や詳細な説明を受けられないため、どのような保険に加入しているか理解していないと、事故時に対応できないリスクがあります。
コンビニでの自転車保険の具体的な適用条件については、保険会社や契約内容によって異なる場合があります。一般的には、支払いが完了した時点で保険が有効になる場合が多いですが、全ての保険商品がそうとは限りません。具体的な契約内容や保険会社のポリシーについては、契約時に提示される契約書や保険条件を確認する必要があります。
自転車保険の選び方
先ほどの両保険を考慮し、自転車保険を選ぶ際のポイントを以下にまとめます。
①補償内容を確認する
・自転車事故で死亡した場合に支払われる死亡保険金を確認します。
・自転車事故でケガを負った際に適応される、通院給付金、入院給付金、手術給付金などを確認します。
・自転車事故における他者への損害賠償責任に関する補償内容を確認します。
・事故での法的な問題に対応するための弁護士費用が補償されるかどうか確認します。
➁保険料の比較とコストパフォーマンスを考える
・同等の補償内容の場合、保険料がどれくらいかかるのかを比較検討します。
・保険料を割引してくれる特典やキャンペーンがあるかどうかを確認します。
③カスタマーサポートの充実度を確認する
・事故やトラブル時のサポート内容や対応速度を確認し、安心して保険を利用できるかどうか考慮します。
契約中の保険を確認して、適切な保険を選びましょう!
自転車事故で最も怖い経済的リスクとして、第三者に対する損害賠償責任が挙げられます。実際には1億円近い支払命令も出されることがあり、このために個人賠償責任保険の上限額は十分な余裕を持ったものを選ぶことが推奨されます。
そして、自転車保険を検討する前に、すでに加入している保険で十分な補償が得られるかどうかを確認することが大切です。例えば、個人賠償責任保険だけで必要な保障が得られる場合、自動車保険や火災保険、傷害保険の特約として利用することも可能です。
自転車保険の選び方に迷った場合は、保険の専門家に相談することをおすすめします。
自動車保険と火災保険については、以下の記事でそれぞれまとめています。
まとめ:自転車保険の入り方
今回の記事のまとめです。
ネット保険で自転車保険に加入するメリットとして、複数の保険会社のプランを比較できる点、また割引特典、支払い方法の選択が挙げられます。ネット保険は24時間いつでも加入できる利便性がありますが、信頼できる保険会社を選定する技量が必要になります。
一方、コンビニの自転車保険は、コンビニ端末機での即時決済が可能な手軽さがありますが、補償内容や詳細な説明を受けられないため、どのような保険に加入しているか理解していないと、事故時に対応できないリスクがあります。
両方の自転車保険を検討する前に、すでに加入している保険で十分な補償が得られるかどうかを確認することが大切です。例えば、個人賠償責任保険だけで必要な保障が得られる場合、自動車保険や火災保険、傷害保険の特約として利用することも可能です。