個人で住宅購入・販売を考える際、気になるのが瑕疵担保責任保険の費用です。
この保険は、新築・中古に関わらず、住宅の欠陥や施工ミスに備えるために大切な保険です。
しかし、実際にかかる保険料の年間費用はどのくらいなのでしょうか?
瑕疵担保責任保険の費用は、物件の価格や契約内容、保険の適用範囲、加入タイミングなど、さまざまな要因によって異なります。
そこで、今回の記事では、住宅瑕疵担保責任保険の費用の目安と、それに影響を与える要因について詳しく解説していきます。
この記事でわかること
- 瑕疵担保責任保険の加入条件
- 瑕疵担保責任保険の費用相場はどれくらい?
- 瑕疵担保責任保険に関するよくある疑問

最後の章では、瑕疵担保責任保険に関するよくある疑問についても解説しています。
瑕疵担保責任保険の加入条件とは?
まず初めに、瑕疵担保責任保険の加入条件を見ていきましょう。
この保険はすべての建物に適用されるわけではなく、いくつかの条件が設けられています。

瑕疵担保責任保険の基本的な概要については、以下の記事でも解説していますよ!
瑕疵担保責任保険の対象となる4つ保険タイプ
住宅瑕疵担保責任保険は、新築住宅の売主に義務付けられており、引渡し後に発見された瑕疵の修理責任を果たすための保険です。
また、中古住宅やリフォーム工事、大規模修繕工事にもそれぞれ瑕疵保険があり、条件や保証期間はそれぞれ異なります。

瑕疵担保責任保険には主に4つのタイプがあり、まずそれぞれについて見ていきましょう。
1. 住宅瑕疵担保責任保険(新築住宅)
新築住宅を購入する際、売主(不動産会社または建設会社)は、住宅瑕疵担保責任保険に加入することが法的に義務付けられています。
この保険は、引渡し後に住宅に瑕疵(欠陥)が発生した場合に備えるもので、売主は10年間の保証期間内に無償で修理を行う責任を負います。
新築住宅であっても、引渡し後に構造的な問題や欠陥が発見される可能性があるため、この保険により消費者は安心して住み始めることができます。
特に、住宅の耐久性や安全性に関わる重要な瑕疵が見つかった場合に備え、補修費用の負担を避けることができます。
2. 既存住宅売買瑕疵保険(中古住宅)
中古住宅の売買において、売主は任意で既存住宅売買瑕疵保険に加入することができます。
この保険は、購入後に瑕疵が発覚した場合に、一定期間内に補修を受けることができる保証を提供し、一般的に、売主が不動産会社の場合は引渡しから最低2年間、個人の場合は3ヶ月間の瑕疵担保責任期間が設けられますが、この保険に加入することで、保証期間を最大で5年間に延長することが可能です。
特に中古住宅では、目視で確認できない部分の劣化や不具合が発見されることもあるため、長期的な保障を受けられる点が購入者にとって大きな安心材料となります。
3. リフォーム瑕疵保険
リフォーム瑕疵保険は、リフォーム工事を行ったリフォーム会社が任意で加入する保険です。
この保険の保証期間は、構造部分については5年間、その他の部分については1年間となっています。
住宅の耐久性に直接影響を与える重要な部分(基礎や柱、屋根など)は長期の保証が提供され、例えば水漏れや構造的な問題に対して迅速な補修が可能です。

基礎を追加した増築の場合に限り、保証期間は10年となります。
4. 大規模修繕工事瑕疵保険
大規模修繕工事瑕疵保険は、大規模修繕工事を行った施工会社が任意で加入する保険で、工事後に発生した瑕疵に対する修理責任をカバーします。
この保険に加入することで、修繕工事後に問題が発生した場合、施工会社が補修費用を負担することになります。
保証期間は工事内容によって異なり、屋上や外壁などの雨水浸入を防ぐための部分には5~10年間の保証があります。
また、鉄部やタイル剥落に関する特約も存在し、詳細な工事内容に応じて保証が適用されます。

瑕疵担保保険は、売主と買主がそれぞれ理解しておくべき保険で、引渡し後に住宅に不具合が見つかった場合の修理費用をカバーします。
瑕疵担保責任保険の費用相場はどれくらい?
次に、瑕疵担保責任保険の費用相場について見ていきましょう。
一般的にこの保険の年間費用は、物件の価格や契約内容によって異なります。
この章では、費用の目安や影響を与える要因について、一緒に学んでいきましょう。
瑕疵担保責任保険の費用の目安
瑕疵担保責任保険は、新築住宅や中古住宅購入者を保護するために保険ですが、費用については様々な要素が影響します。
以下に、その6つのポイントをまとめてみます。
1. 保険料
瑕疵保険の保険料は、建物の種類や広さ、保険期間によって異なります。
以下は、戸建住宅とマンションの保険期間(2年または5年)ごとの保険料相場の目安です。
戸建住宅(100㎡~150㎡未満):約2.6万~5.5万円
マンション(55㎡~85㎡未満):約1.5万~3.1万円
※保険料の目安(現場検査手数料を含まない)
2. 保険期間と保険金額
瑕疵保険には1年、2年、5年の3つの保険期間があり、それぞれに基準となる保険金額が設定されています。
Ⓐ1年、2年タイプ
保険金額は200万円、500万円、1,000万円
Ⓑ5年タイプ
保険金額は1,000万円
3. 加入料金の目安
瑕疵保険に加入するための料金は、検査料金と保険料の合計で、おおよそ6万〜15万円が相場です。
具体的には、建物の規模や保険期間、保険金額により費用が変動しますが、大きな建物や長期間の保証を希望する場合は、料金が高くなる傾向があります。
4. 加入先の違い(売主による違い)
瑕疵保険に加入する責任は、売主にあります。
Ⓐ売主が宅建業者の場合:
宅建業者が瑕疵保険に加入することが一般的です。業者が管理する保険により、契約後のトラブル時に保証を受けられます。
Ⓑ売主が個人の場合:
検査機関が瑕疵保険に加入し、第三者として保険を提供します。検査機関が責任を持ち、保険金支払いに対応します。
5. 補修費用の支払い
瑕疵が発生した場合、その補修費用は通常、加入している宅建業者や検査機関が負担します。
また、万が一、売主が倒産している場合でも、保険法人が直接買主へ保険金を支払い、補修費用をカバーします。
6. 注意点
瑕疵保険に加入する際、検査手数料が別途かかる場合があるため、加入料金にはその費用が含まれていないことに注意が必要です。
また、保険内容や保険会社によって料金が異なるため、複数の保険会社を比較することも重要です。

住宅瑕疵担保責任保険に関するよくある疑問(Q&A)
住宅瑕疵担保責任保険については、「保険の請求方法」や「どのタイミングで加入すべきか」といった疑問を持つ方も多いです。
そこで最後に、住宅瑕疵担保責任保険に関するよくある疑問を3つご紹介したいと思います。
新築と中古で保険の適用範囲はどう変わるの?
瑕疵担保責任保険は、主に新築住宅と既存住宅(中古住宅)では適用範囲が異なります。
瑕疵担保保険の種類
・住宅瑕疵担保責任保険(新築向け)
・既存住宅売買瑕疵保険(中古住宅向け)
そして瑕疵担保責任保険では、住宅の基本構造部分に関わる瑕疵が主な補償対象となります。
対象となる瑕疵(保証される範囲)
1. 主要構造部(構造耐力上主要な部分)
・基礎や土台のひび割れや沈下
・柱、梁、壁の欠陥
・屋根や外壁のひび割れ、強度不足
2. 防水性能に関わる部分
・屋根や外壁の防水施工不良による雨漏り
・バルコニーや窓回りからの水漏れ
3. 住宅設備の一部(中古住宅に適用される場合あり)
・給排水管の漏水
・シロアリ被害(防蟻処理が適切でない場合)
4. その他軽微な瑕疵(補償対象となる場合あり)
・タイルやガラスのひび割れ
・建具(ドアや窓)の開閉不良
・内装の仕上げ不良(クロスの剥がれなど)
住宅に該当する範囲とは?賃貸物件や旅館などの線引き
「住宅」とは、基本的に人の居住の用に供する家屋またはその一部とされます。
これには、賃貸住宅(民間・公営問わず)や公務員宿舎が該当します。
しかし、ホテルや旅館など人を宿泊させる営業を目的とした施設は、基本的には住宅には該当しません。
ただし、分譲された部屋が空いている時にホテルとして利用されている場合は、その部屋は住宅として扱われることもあります。

なお、老人福祉関連の施設も、住宅には該当しません。
参照サイト
総務省統計局:『住宅・居住地に関する用語』
どのタイミングで加入するのがベストなの?
瑕疵担保責任保険は、対象となる物件によって加入のタイミングが異なります。
ただし、加入のタイミングを逃すと保険の適用が受けられない場合があるため、注意が必要です。
新築物件の場合:
建物の施工が完了し、引き渡しが行われる前に加入します。
中古物件の場合:
売主が住宅の売買契約を結んだ後、引き渡し前に加入します。

住宅購入はライフプランにおける大きな決断であり、住宅ローン控除や団信などの制度も事前に理解しておくことが大切です。
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まとめ
今回の記事のまとめです。
瑕疵担保責任保険は、新築住宅だけでなく、中古住宅やリフォーム、大規模修繕工事にも適用され、それぞれ異なる保証内容と条件があります。
そして瑕疵担保責任保険の年間費用は、物件の価格や契約内容に応じて異なります。
住宅購入はライフプランにおける大きな決断であり、様々なリスクヘッジについても事前に理解しておくことが大切です。