『固定金利と変動金利、結局どっちがお得なの?』
住宅ローンを検討する際、多くの人が悩むのが「固定金利」と「変動金利」のどちらを選ぶべきかという問題です。
固定金利は将来の返済額が一定で安心感がある一方、変動金利は初期コストを低く抑えられるなど、それぞれに魅力的な特徴があります。
ただし、正しい知識がないまま選ぶと、思わぬ後悔につながることもあるため注意が必要です。
この記事では、固定金利と変動金利の基本的な違いをわかりやすく解説し、それぞれのメリット・デメリットを比較します。
この記事で分かること
- 固定金利と変動金利それぞれの特徴
- 金利選択の判断基準と注意点
固定金利と変動金利の基礎知識
それではまず、固定金利と変動金利のそれぞれの特徴について見ていきましょう。
住宅ローンなどの長期にわたる借り入れでは、金利タイプの選択が返済総額や家計に与える影響は非常に大きいものです。
そのため、固定金利と変動金利の特徴や違いを正しく理解しておくことが重要です。
固定金利とは?特徴と仕組み
固定金利とは、借入期間を通じて金利が一定に固定される仕組みのことです。
主に住宅ローンや学資ローンなど、長期の借り入れで採用される金利タイプの一つです。
固定金利の主な特徴は、以下の4点です。
1. 金利が一定
契約時に設定された金利は、返済期間中に変動せず、経済状況や市場金利の影響を受けません。
2. 返済額が固定
金利が一定のため、毎月の返済額が変わらず、家計管理がしやすくなります。特に長期間にわたるローンでは、将来の支払い計画が立てやすいという利点があります。
3. 金利が高めに設定される
金利変動のリスクを金融機関が負担するため、固定金利は一般的に変動金利よりも高めに設定されます。
4. 借入期間の選択
固定金利には以下の2種類があります。
①全期間固定型
借入開始から完済まで金利が一定です。
➁一定期間固定型
契約時に一定期間(金利固定期間)を設定し、その後は変動金利や再設定金利に移行します。
長期固定金利型の代表的なローンとして、フラット35があります。
変動金利とは?特徴と仕組み
変動金利とは、借入期間中に金利が市場の金利動向に応じて変動する仕組みのことです。
主に住宅ローンや自動車ローンなどで採用される金利タイプの一つです。
変動金利の主な特徴は、以下の3点です。
1. 金利が市場金利に連動して変動
契約後も一定期間ごとに金利が見直され、主に短期プライムレートなどの市場金利に連動します。金利が下がれば返済額が減るメリットがある一方、金利が上がれば返済額が増えるリスクもあります。
2. 返済額が変動する可能性がある
金利の変動によって、毎月の返済額や総返済額が変わる可能性があります。ただし、多くのローンでは半年ごとに金利を見直し、5年ごとに返済額を調整する仕組み(5年ルール)が適用されています。
3. 初期金利が低めに設定される
変動金利は、金利変動リスクを借り手が負うため、一般的に固定金利よりも初期の金利が低く設定されています。そのため、借入当初の返済負担が軽くなる傾向があります。
変動金利型ローンは、各金融機関が提供する基本商品として広く採用されています。
金利タイプの選択が重要な理由
金利タイプの選択が重要な理由には、借入期間中の返済額や総支払額、さらには家計への影響を大きく左右することが挙げられます。
以下に、その要因を3つに絞って解説します。
1. 返済額の安定性が異なる
金利タイプによって、毎月の返済額が一定か、または変動するかが異なります。固定金利では、返済額が一定のため、家計管理がしやすく、将来の支出計画を立てやすいです。変動金利では、金利が下がれば返済額が減少するメリットがある一方、金利が上昇すると負担が増えるリスクがあります。
2. 経済状況やライフプランに影響
金利が上昇している場合は固定金利が有利で、金利が下がる場合には変動金利がメリットを発揮します。ただし、金利の動向を予測するのは難しく、選択によって経済的な影響が大きく変わるため、慎重に判断する必要があります。
3. 総支払額に大きな差が出る
固定金利は、初期金利が高めに設定されているため、短期間の借入では割高になる可能性があります。一方、変動金利は金利が低い間は総支払額を抑えられますが、金利が上昇すると総支払額が増えるリスクがあります。
固定金利と変動金利のメリット・デメリット
次に、固定金利と変動金利のメリット・デメリットについて見て行きます。
第1章で触れたように、それぞれの金利には異なる特徴があります。
この章では、それらの違いをより詳しく解説し、選択時の判断材料となる情報をお伝えします。
固定金利のメリットとデメリット
固定金利のメリットとデメリットは、以下のように整理できます。
メリット
①金利が一定で安定性が高い
契約時に決まった金利が返済終了まで変わらないため、経済状況や市場金利の変動に影響を受けません。将来の返済額を確定できるため、家計管理がしやすく、長期的な計画を立てやすいのが大きな利点です。
➁返済額が変わらない
毎月の返済額が固定されるため、収入の見通しが立てやすく、安心感があります。特に、金利上昇リスクを避けたい人に適しています。
③金利上昇リスクを回避できる
経済環境の変化で市場金利が上昇しても、固定金利で契約していれば影響を受けません。
デメリット
①金利が高めに設定される
金融機関が金利変動リスクを負うため、固定金利は変動金利より高めに設定されるのが一般的です。結果として、支払い総額が多くなる可能性があります。
➁金利低下の恩恵を受けられない
市場金利が下がった場合でも、契約時の金利が維持されるため、変動金利と比べて不利になる場合があります。
③途中で変更が難しい
一度固定金利で契約すると、金利タイプを変えるには手続きや条件が必要となるため、柔軟性が低いと感じる場合もあります。
変動金利のメリットとデメリット
変動金利のメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット
①金利が低めに設定される
一般的に変動金利は固定金利より低く設定されるため、特に契約当初の返済負担が軽くなります。
➁金利低下の恩恵を受けられる
市場金利が下がる局面では、返済中の金利が引き下げられるため、支払い総額を減らすことが可能です。
デメリット
①金利上昇のリスクがある
市場金利が上昇した場合、返済額も増加する可能性があるため、家計への負担が大きくなるリスクがあります。
➁返済額が変動する
金利見直しのタイミングで返済額が変動するため、長期的な返済計画を立てるのが難しくなることがあります。
③リスク管理が必要
金利変動による影響を見越した計画と、適切な資金管理が求められます。特に、予想以上の金利上昇が家計に大きな影響を及ぼす可能性があります。
金利選択の判断基準と注意点
ここまで、それぞれの金利の特徴を確認してきました。
特徴を理解したうえで、多くの方が気になるのは、「結局、どちらの金利を選べば良いのか?」という点ではないでしょうか。
そこで最後に、金利選択の判断基準と注意点について解説していきます。
市場金利が与える影響を理解しよう
市場金利とは、金融市場で決まる金利のことで、主に中央銀行が設定する政策金利の影響を受けます。
この市場金利は、住宅ローンやその他のローンに直接的な影響を与えるため、金利選択をする際に理解しておくことが重要です。
市場金利が与える影響について、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
①金利の変動が与える影響
市場金利が上昇すると、変動金利型のローン金利も上昇することが一般的です。逆に、市場金利が低下すると、変動金利型ローンの金利も下がる可能性があります。このため、変動金利型のローンを選択する場合、市場金利の動向によって返済額が増減するリスクがあることを考慮しなければなりません。
➁固定金利への影響
固定金利は契約時に設定された金利が返済期間を通じて変わらない特徴がありますが、固定金利にも市場金利の影響はあります。市場金利が低いと、金融機関は比較的低めの固定金利を提供することが多く、反対に市場金利が高い場合、固定金利も高くなる傾向があります。
③金融機関の金利戦略
市場金利の動向に応じて、金融機関はローン金利を設定します。市場金利が低ければ、ローンの借り入れがしやすくなり、住宅ローンの需要が増えることが予想されます。逆に、市場金利が上昇すれば、ローンの借り入れコストが高くなり、需要が減少する可能性があります。
ライフスタイルに合わせた金利選びのポイント
金利選択は、目先の利便性だけでなく、将来の家計やライフイベントを見据えて判断することが大切です。
収入の安定性や返済期間、ライフイベントの予定に応じて、適した金利タイプが異なります。
たとえば、収入が安定している場合は変動金利が向いており、長期的な家計管理を重視する場合は固定金利が適しています。
また、短期間での返済を予定している場合は、低金利が魅力の変動金利が選ばれることが多いです。
自身のライフスタイルに合った金利タイプを選ぶことで、返済計画を立てやすくなります。
金利の選択だけでなく、ライフプランに基づく判断については、他の記事で詳しく解説しています。
ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
今回の記事のまとめです。
固定金利は、契約時の金利が返済期間を通じて一定であり、家計管理がしやすい反面、一般的には変動金利より高めに設定されます。
固定金利には「全期間固定型」と「一定期間固定型」の2種類があり、後者は一定期間後に変動金利や再設定金利に移行します。
一方、変動金利は市場金利に基づいて金利が定期的に見直され、金利が下がると返済額が減少し、逆に上がると返済額が増えるリスクも伴います。
それぞれの金利タイプにはメリットとデメリットがあるため、ライフプランや家計の安定性を考慮したうえで、自身に最適な金利を選ぶことが重要です。