「教育ローンってどんなものがあるの?」
教育ローンにはさまざまな種類がありますが、その中でも教育一般貸付(国の教育ローン)は、主に学生が高校や大学などへの進学・在学にかかる費用をサポートするための融資制度です。
一般的に「教育ローン」と呼ばれるこの制度は、学費や生活費、教材費など、教育に関連するさまざまな費用をカバーするために設けられています。
この記事では、教育一般貸付の基本的な仕組みや申請方法、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
この記事で分かること
- 教育一般貸付の概要
- 教育一般貸付を利用することのメリットとデメリット
- 教育一般貸付の申請方法
教育一般貸付とは?
それではまず最初に、教育一般貸付の概要について見ていきます。
ちなみに国の奨学金は、申込時期があらかじめ決められており、在学中の高校や大学などを通じて手続きを行います。
教育一般貸付の基礎知識
教育一般貸付(国の教育ローン)は、主に学生が高校や大学に通うための学費や生活費をサポートすることを目的として、日本政策金融公庫が運営している国の教育ローンです。
高校や大学にかかる費用は数百万円に及ぶことが多いため、この制度を利用することで学生の負担を軽減することが可能です。
教育一般貸付(教育ローン)の特徴は以下の通りです。
借入可能額
上限350万円までの融資が可能です。
固定金利
年2.40%の固定金利が設定されています。(令和6年5月時点)
奨学金との併用
日本学生支援機構の奨学金などと併用して利用できます。
優遇制度
ご家庭の状況に応じた優遇制度があり、返済条件や金利の面で柔軟な対応が受けられます。
対象となる学生の条件
教育一般貸付(国の教育ローン)の対象となる学生の条件は以下の通りです。
進学先の要件
高校(全日制・定時制・通信制)
大学(短期大学、大学、専門学校など)
短大・専門学校(専修学校なども含む)
在学状況
申請時に進学・在学中であること。
原則として、入学試験に合格していること。
年齢制限
通常、申請者が高校生の場合、年齢制限が設けられていることがあり、例えば18歳以上、25歳以下などが一般的です(具体的な年齢制限は年度や制度によって異なる場合があります)。
家庭の状況
収入や生活状況が融資の判断基準となることがあり、具体的な収入制限が設けられている場合があります。これにより、経済的に困難な状況にある家庭が優遇されることがあります。
利用目的
学費や教材費、生活費など、教育に関連する目的での利用が求められます。
教育一般貸付は、特定の条件を満たす外国の高校・大学などでも融資を受けることが可能です。
貸付の金額と利率
教育一般貸付の金利は、借入時点の金利が完済まで変わらない固定金利タイプです。
2024年の固定金利は年2.4%に設定されています。このため、一度この金利で融資を受けると、以降の返済はすべて年2.4%の利率で行われます。
融資資金の返済は、融資日の翌月または翌々月の希望日から開始され、返済期間は最長で18年に設定されています。
また、元金と利息を合わせた毎月の返済額は返済期間中変動しないように設定されています(元利均等返済方式)。
例えば、融資資金が100万円で、年2.4%、返済期間が10年の場合、毎月の返済額は約10,600円に固定されます。
教育一般貸付(国の教育ローン)|日本政策金融公庫 (jfc.go.jp)
教育一般貸付を利用するメリットとデメリット
次に、教育一般貸付を利用する際のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
なお、国の教育ローンは子どもではなく保護者が利用者となる点に注意が必要です。
教育一般貸付のメリット
教育一般貸付(国の教育ローン)のメリットには、以下の4つがあります。
①固定金利
教育一般貸付は、民間の教育ローンに比べて金利が低めに設定されています。これにより、長期間の返済でも総返済額を抑えることができます。
➁多用途で利用可能
授業料や教材費だけでなく、入学金、下宿費、交通費など、学業に関わる幅広い費用に対応しているため、教育全般にかかる費用を幅広くカバーできる点が大きな利点です。
③元金据置が可能
在学中は利息のみの返済で、元金返済を据え置くことができます。これにより、学生が卒業するまでの経済的負担を軽減できます。
④繰り上げ返済が手数料無料
早期に余裕ができた場合、繰り上げ返済が手数料なしでできる点も大きなメリットです。
デメリットやリスク
反対に、デメリットとリスクについても知っておきましょう。
以下に4つのポイントを挙げます。
①返済の負担
教育一般貸付を利用することで、借入金額が増加します。卒業後は学費や生活費を返済しながら生活する必要があるため、返済負担が重く感じることがあります。特に、就職後の収入が不安定な場合、返済計画が厳しくなる可能性があります。
➁信用情報への影響
借入を行うと、信用情報に記録されます。返済が遅れたり、滞納した場合、信用情報に悪影響を与え、将来的な借入やローン申請に支障をきたすことがあります。
③利用条件の制限
国の教育ローンには利用条件があり、例えば、収入制限や学業成績などの要件を満たす必要があります。これらの条件をクリアできない場合、借入ができないこともあります。
教育一般貸付の申請方法
では最後に、教育一般貸付の申請方法について解説します。
申請手続きやそれに伴う必要書類などについて、しっかりと抑えておきましょう。
必要書類の一覧
教育一般貸付(国の教育ローン)の申請時に必要な、書類についての確認です。
国の教育ローンに申し込む際に必要な書類は以下の通りです。
①借入申込書
書面で申し込む場合は、申込書を教育ローンコールセンターから取り寄せ、申込者本人が自署します。インターネット申し込みの場合は、申込書の提出は不要です。
➁本人確認書類
運転免許証またはパスポートのコピーを提出します。これらを用意できない場合は、教育ローンコールセンターに問い合わせる必要があります。
③住民票の写しまたは住民票記載事項証明書
世帯全員の続柄が記載された住民票の原本を提出します。本籍地やマイナンバーの記載は不要です。
④源泉徴収票または確定申告書(控え)
直近分の源泉徴収票または確定申告書の提出が必要です。
⑤預金通帳や領収書(直近6ヵ月分以上)
住宅ローンや家賃、公共料金の支払いが確認できる書類が必要です。通帳の場合は、金融機関名と口座番号がわかる部分のコピーを提出し、公共料金については、電気、ガス、水道、電話など2種類以上の領収書を提出します。
申請時の注意点
融資を受ける前に、返済スケジュールや返済額をしっかりと確認することは非常に重要です。
具体的には、月々の返済額がどのくらいになるのか、返済がどの期間続くのかを把握しておく必要があります。
これにより、生活費や他の支出とのバランスを考え、自身の経済状況に合った無理のない返済計画を立てることができます。
たとえば、収入の変動や突発的な支出が発生する可能性を考慮し、余裕を持った返済額を設定することで、将来的な経済的な負担を軽減できます。
また、返済計画を見直すことができるよう、定期的に自身の収支を確認する習慣を持つことも大切です。
まとめ
今回の記事のまとめです。
教育一般貸付(国の教育ローン)は、日本政策金融公庫が提供するローンで、主に学生が高校や大学に通うための学費や生活費をサポートします。
学費は数百万円に及ぶことが多く、この制度を利用することで、学生や家族の負担を軽減できます。
主な特徴
・借入可能額: 上限350万円
・金利: 年2.40%(固定金利、令和6年5月時点)
・併用可能: 日本学生支援機構の奨学金と併用可能
メリット
・固定金利のため、返済額が変わらない
・学費だけでなく、生活費など多用途に利用可能
デメリット
・返済期間や月々の返済額をしっかり確認する必要がある
・利用条件に制限がある場合がある
返済計画を立てる際は、月々の返済額と期間を把握しておくことが重要です。