予期せぬ病気やケガで働けなくなる可能性は、誰にでも起こりうることです。
そして、働けなくなることは収入の減少を意味しますが、
そんな時に心強い味方となるのが「就業不能保険」です。
就業不能保険は、収入が途絶えた際に経済的な支えを提供し、安心して生活を続けるための大切な保障となります。
本記事では、就業不能保険の基本的な仕組みやその具体的な活用方法について詳しく見ていきましょう。
この記事で分かること
- 就業不能保険の基本的な仕組み
- 就業不能保険の必要性
- 就業不能保険の選び方

就業不能保険と所得補償保険は混同されやすいため、それぞれの違いについても学んでいきましょう。
就業不能保険ってどんな保険?
就業不能保険の主な役割は、病気やケガなどで一定期間働けなくなった場合に、経済的な支援を提供することです。
まずは、就業不能保険の基本的な仕組みを確認していきましょう。
就業不能保険で備えられるもの
就業不能保険は、病気やケガなどで一定期間働けなくなった場合に、収入の一部を補填する保険です。
特に、公的保障が限られる自営業者やフリーランスの方々にとって、重要な保障となります。
この保険の補償範囲は、主に以下の5つが対象です。
①病気やケガによる就業不能
病気やケガで働けなくなった場合に、収入の一部を補填します。
②入院や手術に伴う支援
入院や手術を受けた場合の収入減少を補うための支援です。
③リハビリ期間中の補償
病気やケガから回復する過程で収入が減った場合の補償が含まれます。
④精神疾患による保障
精神疾患が原因で働けなくなった場合に適用され、収入の補填を行います。
⑤障害等級による保障
障害等級が1級または2級に該当する場合に保障されます。
給付期間および給付金の種類
就業不能保険の受取期間は、主に以下の3つに区分できます。
①保険期間満了までの継続給付
就業不能状態が続いている限り、保険期間中ずっと受け取れるもの。
➁一定期間の給付
就業不能状態が回復するまでの一定期間のみ受け取れるもの。
③回復後の継続給付
就業不能状態から回復後も、保険期間満了まで給付を受けられるもの。

給付金の種類は、就業不能給付金、短期就業不能給付金、長期就業不能給付金の3つに分かれています。
参照サイト
公益財団法人 生命保険文化センター『保険金・給付金の種類』
就業不能保険と他の保険との違い
冒頭で少し触れましたが、就業不能保険と混同されやすい保険に、所得補償保険があります。
これらは似た目的を持つ保険ですが、それぞれに特徴や違いがあります。

以下の図1の表に、2つの保険の主な特徴の違いをまとめました。
特徴 | 就業不能保険 | 所得補償保険 |
---|---|---|
目的 | 病気やケガで働けなくなった場合の長期的な収入補填 | 病気やケガで働けなくなった場合の短期的な収入減少への備え |
給付条件 | 長期間の入院、在宅療養、障害等級 | 特定の病気や事故に加え、自己都合による失業も含む場合もある |
受取期間 | 就業不能状態が続く限り、または一定期間 | 1か月や1年等の短期間 |
対象者 | 自営業者、給与所得者、アルバイト・パートタイマーなど | 自営業者、給与所得者、アルバイト・パートタイマーなど |
保障内容 | 精神疾患も対象 | 医療・事故・失業など |

所得補償保険の特徴については、以下のコラムで詳しく解説しています。
合わせて読みたいコラム
・所得補償保険はどんな時に活用すべき?育児休暇や転職活動中にも役立つ保険
就業不能保険の必要性
就業不能保険を活用することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
次にこの章で、就業不能保険の必要性について見ていきましょう。
なぜ就業不能保険が必要なのか?
就業不能保険が必要な理由として、主に以下の2点が挙げられます。
①ライフステージに応じたリスク管理ができる
就業不能保険は、個人のライフプランに合わせて必要な保障を柔軟に選べるため、ライフステージに応じた備えが可能です。

ライフプランにおける活用シーンには、以下3つのような場面が考えられます。
1. 結婚・子育て中の場合
家庭を持つと支出が増え、主たる働き手が就業不能になった場合のリスクを軽減するため、就業不能保険は家族の生活を支える役割を果たします。
2. 住宅ローンや長期債務がある場合
住宅ローンなどの長期負債がある場合、就業不能によって収入が途絶えるリスクを軽減し、生活を維持するために就業不能保険が役立ちます。
3.退職後の生活費や年金が不安な場合
定年後の生活費や年金に不安がある場合、就業不能保険は病気やケガで働けなくなった際の経済的支援を提供し、生活基盤を支える助けになります。
➁公的制度の補償を補完できる
公的制度はすべてのリスクに対応しているわけではありません。
そのため、就業不能保険に加入することで、公的制度ではカバーしきれない経済的な部分を補うことができます。

保険と同様に、公的制度の活用についても合わせて知識を深めておきましょう。
合わせて読みたいコラム
・医療費控除とセルフメディケーション税制を使ったシミュレーション
就業不能保険の選び方
就業不能保険を検討する際には、押さえておくべきポイントがいくつかあります。
それでは最後に、就業不能保険の選び方を確認していきましょう。

保険料と保障額のバランスを考える
保険を活用することの本質を理解しましょう。
保険はあくまで、有事の際のリスクに備えるためのものであり、日常生活における月々の負担を増やすものではありません。
そのため、高額な保険料を支払うことが、必ずしも全てのリスクヘッジになるわけではなく、
重要なのは、自分自身や家族のライフプランに最適な保険を選ぶことです。
保険を最適化することで、リスクヘッジだけでなく、収支のバランスの改善や資産形成にもつながります。

保険の最適化の方法として、保険の見直しが挙げられます。
合わせて読みたいコラム
・ライフイベントと生命保険の見直し|そのメリットとは?
医療保険との役割を明確にしておく
医療保険と就業不能保険は、互いに補完し合う関係にあります。
医療保険は、入院や手術にかかる医療費をカバーし、医療行為に伴う費用を保障することで、入院時の費用負担を軽減します。
一方、就業不能保険は、病気やケガで働けない状態が続いた場合、生活費などの収入減少に備えるための保障を提供します。
これらの保険を組み合わせることで、医療費と収入減少の両方に対応できる総合的なリスク管理が可能になります。

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まとめ
今回の記事のまとめです。
就業不能保険は、病気やケガで働けなくなった際の収入を補填する保険です。
主な保障内容には、病気やケガによる就業不能時の支援、入院や手術に伴う補償、リハビリ期間中の補償があります。
給付の受け取り方には3つのタイプがあり、公的制度や医療保険と組み合わせて活用することができます。