出産は人生の大きな節目であり、新たな家族の誕生を迎える特別なイベントです。
そんな中、出産手当金は、出産に伴う収入の減少を補うための重要な支援制度です。
出産手当金を活用することで、体力的な面だけでなく、経済的な負担を軽減することができます。
本記事では、出産手当金の支給時期や申請手続きなど、健康保険に関連する気になるポイントを詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- 出産手当金の概要
- 出産手当金を活用できる期間
- 出産手当金の申請方法

出産時に活用できる公的制度について、一緒に学んでいきましょう。
出産手当金ってどんなもの?
出産手当金を受け取るための条件には、社会保険に加入していることや、休業中に給与の支払いがないことなどが含まれます。
まずはこの章で、出産手当金の概要を確認していきましょう。

後ほど詳しく解説しますが、出産手当金を求める際には、標準報酬日額についての知識も必要です。
出産手当金の基礎知識
出産手当金とは、社会保険に加入している女性が、出産のために仕事を休んだ際に受け取れる公的支援制度です。
出産手当金の主な特徴として、以下の4点が挙げられます。
1. 出産手当金の目的
出産手当金は、出産に伴う収入の減少を補い、出産前後の休業中に経済的な負担を軽減するための支援金です
2. 支給対象者
出産手当金を受け取ることができるのは、社会保険(健康保険)に加入している女性で、被保険者として出産のために一定期間仕事を休むことが条件です。
3. 支給条件
・出産日の前後に連続して仕事を休む必要があります(通常は出産予定日の42日前から出産後56日まで)。
・休業中に給与の支払いがないこと。
・健康保険の被保険者であること。
4. 支給額
出産手当金の支給額は、休業前の給与の約67%(標準報酬日額の2/3)です。ただし、支給額には上限が設けられています。
参照サイト
・全国健康保険協会『出産で会社を休んだとき』
出産手当金の適用期間
一般的に出産手当金を受給できる期間には、出産日前と出産後のそれぞれの期間が含まれます。
次にこの章では、出産手当金の適用期間について見ていきます。
受給期間と受給要件
一般的に出産手当金の給付は、該当の期間内で給与の支払いを受けなかった日数分のみが対象です。
以下に、出産手当金の受給期間と受給要件をまとめます。
受給期間
出産日前の期間
・出産日を含む42日前から受給可能です。
出産後の期間
・出産日から56日間が対象となります。
受給要件
出産手当金を受給するためには、以下3つの要件を満たす必要があります。
①出産手当金の申請を行うこと。
②会社を休業していること。
③出産前の一定期間に健康保険に加入していること。
参照サイト
・全国健康保険協会『出産手当金について』
出産手当金の申請手続き
出産手当金を申請する際、通常は産後に申請しますが、出産前と出産後に分けて申請することで、早期に受給できる場合があります。
この章では、出産手当金の申請手続きと、受給を早めるためのポイントについて見ていきましょう。
申請時に必要な書類
出産手当金の申請に必要な書類は、主に以下の5つです。
①出産手当金支給申請書
健康保険組合または社会保険事務所から入手できます。
➁医師の証明書
出産予定日や実際の出産日を証明する書類です。主に医師が発行する「母子手帳」や「診断書」が該当します。
③健康保険証のコピー
申請者の健康保険証のコピーが必要です。
④退職証明書(該当する場合)
退職後に申請する場合、退職日を証明するための書類が必要です。
⑤通帳のコピー(受取先口座)
受取先の銀行口座の情報を確認するために必要です。
出産手当金を早くもらうための方法
出産手当金は、産前・産後に分けて申請することができます。
分けて申請することで、特に産前分は早い段階で申請できるため、支給を早めることができます。
一方、まとめて申請すると、産後にしか入手できない書類が必要になるため、支給までに時間がかかることがあります。
また、申請に必要な書類は事前に準備し、勤め先や医療機関にも相談しておくことで、申請処理を早めてもらえる可能性があります。

出産手当金の給付は、該当期間内で給与を受け取らなかった日数が対象です。
そのため、産休中に有給を取得した日は対象外となります。
参照サイト
・全国健康保険協会『出産手当金について』
出産手当金に関するよくある疑問点
出産に関連して混同されやすい公的制度のひとつに、育児休業給付金があります。
最後に、出産手当金に関するよくある質問を確認していきましょう。
出産手当金と育児休業給付金の違い
出産手当金と育児休業給付金はいずれも出産に関連した給付ですが、内容には明確な違いがあります。
育児休業給付金の主な特徴には、以下の3つが挙げられます。
①支給額
育児休業開始から最初の180日間は給与の67%、その後は50%が支給されますが、支給額には上限があります。
➁支給期間
育児休業給付金は最長で1年間支給され、特別な理由がある場合は延長することも可能です。
③社会保険料の免除
育児休業中は社会保険料が免除され、経済的な負担が軽減されます。

出産手当金は出産に伴う休業を補償する制度で、育児休業給付金は育児のための休業を支援する制度です。
合わせて読みたいコラム
・出生時育児休業(産後パパ育休)ってどんな制度?
退職後の出産手当金はどうなるの?
原則として、退職者には健康保険などの手当は支給されませんが、出産手当金については特例があります。
退職後も出産手当金を受給するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
①被保険者期間
退職日までに、1年以上の被保険者期間が必要です(健康保険の任意継続期間は除く)。
➁出産手当金の受給資格
資格喪失時(退職日)の時点で、出産手当金を受給中または受給条件を満たしていること。

出産を機に退職する場合、退職前に1年以上健康保険に加入しており、退職時に出産手当金の受給資格を満たしていることが必要です。
FPに相談できるサイト
・子育て・教育資金に特化したFP無料相談
まとめ
今回の記事のまとめです。
出産手当金とは、社会保険に加入している女性が出産のために仕事を休んだ場合に受け取れる支援制度です。
支給条件
・出産の前後に連続して仕事を休むこと(出産予定日の42日前から出産後56日までが目安)。
・休業中に給与が支払われていないこと。
・健康保険の被保険者であること。
受給期間
・出産前: 出産予定日の42日前から受給可能です。
・出産後: 出産日から56日間が対象です。