『相続土地国庫帰属制度の申請費用ってどのくらい?』
相続土地国庫帰属制度を利用することで、相続した土地を国に引き渡すことができますが、その申請にかかる費用については気になるところです。
そのため、この制度を利用する際の費用や相談先について、事前に理解しておくことは大切です。
本記事では、相続土地国庫帰属制度の申請費用の詳細と、よくある質問について詳しく解説していきます。
この記事でわかること
- 相続土地国庫帰属制度の申請費用
- 相続土地国庫帰属制度の申請に関するよく疑問
- 相続土地国庫帰属制度について相談するには

最後の章では、相続土地国庫帰属制度に関する気になる疑問についても解説しています。
そもそも、相続土地国庫帰属制度って何?
まずは、相続土地国庫帰属制度の概要を簡単にご紹介します。
詳細については別の記事で詳しく解説しているので、この章では要点をサクッと押さえておきましょう。

申請に必要な書類や申請のステップについては、以下のコラムをご参照ください。
相続土地国庫帰属制度の概要
相続土地国庫帰属制度は、相続した土地の管理が難しい場合に、一定の条件を満たすことで国に引き渡すことができる制度です。
これにより、所有者は管理責任から解放され、維持管理の負担を軽減できます。
ただし、全ての土地が対象となるわけではなく、国が定める所定の条件を満たす必要があります。

つまり、相続により維持管理が困難となった土地を、国に返還することを目的とした制度です。
制度を活用することのメリット
相続土地国庫帰属制度を活用することで、主に、次の2つのメリットがあります。
1. 将来の土地管理や活用の不安を解消
土地を国に返還することで、管理や活用に悩む必要がなくなります。特に、使い道のない土地を相続した場合、将来的な負担を避けることができます。
2. 法的・社会的責任の軽減
売却した土地には一定期間、瑕疵担保責任などの法的責任が発生することがありますが、国に返還すれば、こうした責任を負う必要がなくなります。
申請には負担金が必要
相続土地国庫帰属制度を利用するには、審査手数料と負担金がかかります。
審査手数料は1筆あたり14,000円で、申請時に支払います。
負担金は、国が引き取った土地の管理費用を賄うために必要で、土地の種類や面積によって異なります。
宅地・田畑・雑種地などは一律20万円ですが、市街地の田畑や森林などは面積に応じて算定されます。

申請にかかる費用は?
先ほどの章の最後で、申請時にかかる費用について触れました。
次に、この章では、費用が発生するタイミングなど、申請にかかる注意点について掘り下げていきます。

この章では、申請時にかかる費用について詳しく見ていきましょう。
申請に必要な基本的な費用は?
相続土地国庫帰属制度にかかる費用は、主に以下の4つです。
1. 審査手数料
申請時に土地1筆あたり14,000円の審査手数料が必要です。
納付は申請書に収入印紙を貼付する形で行います。
2. 負担金
申請が承認されると、申請者は負担金を納めます。
これは、土地の管理費用の一部として、原則20万円が求められます。
例外的に、住宅街の宅地や優良農地、山林などについては面積に応じて金額が異なります。

詳しい条件については、図1または法務省の『負担金の金額について』をご参照ください。
3. 登記費用
土地が国庫に帰属した後、法務局への登記申請が必要です。
この登記費用は、土地の面積や登記内容に応じて異なります。
✅ 登録免許税額(不動産を取得した場合)
= 固定資産税評価額 × 税率
✅ 登録免許税額(抵当権を設定する場合)
= 抵当権設定金額 × 0.004
例:土地の評価額が1,000,000円の場合 → 登録免許税は4,000円。
4. 書類作成費用
申請書類を専門家(司法書士、行政書士、弁護士など)に依頼する場合、依頼に伴う費用が発生します。
書類作成や手続き代行の費用は、依頼内容により異なりますが、一般的に10万円から50万円程度で、30万円前後が相場となっています。

初回無料相談を提供している専門家も多いため、まずは気軽に相談してみましょう!
作成・提出する書類には何があるの?
先ほど、必要書類の作成を専門家に依頼する際の費用についてお伝えしましたが、
もし自身で必要書類を準備・作成する場合、どのような書類が必要になるのでしょうか?
自身で作成しなければならない書類には、以下の7つが挙げられます。
①相続土地国庫帰属申請書
土地の返還を申請するために必要な基本書類で、申請者情報や土地の詳細を記載します。
②土地の登記事項証明書
土地の所有者を証明するために必要な書類で、法務局で取得します。
③相続関係説明図(または相続人一覧図)
相続人を明確にするために、相続関係を図で示す書類です。
④相続税申告書(必要な場合)
相続税が課税された場合に必要で、税務署に提出するための申告書です。
⑤所有権移転承諾書
土地の返還に同意したことを示す書類で、申請者が所有権を移転する意思を表します。
⑥土地の評価証明書(必要な場合)
土地の評価額を証明する書類で、特定の条件下で必要となります。
⑦審査手数料の収入印紙
申請時に審査手数料として納付するために必要な収入印紙です(土地1筆あたり14,000円)。

申請に必要な書類については、以下のコラムでも詳しく解説しています
合わせて読みたいコラム
・相続土地国庫帰属制度を活用するための条件とは?
相続土地国庫帰属制度の申請費用に関するよくある疑問
相続土地国庫帰属制度は、2023年5月にスタートしたばかりの新しい制度です。
そのため、この制度についてはまだ分からないことが多いかもしれません。
そこで最後に、申請費用に関するよくある質問をまとめてご紹介します。

この制度の申請に関する疑問を中心にまとめています。
相談は法務局窓口で行えるの?
法務局の窓口では、申請に関する相談を受け付けています。
相談は事前予約制で、土地の所有者本人だけでなく、家族や親族が相談することも可能です。
ただし、相談者と関係のない土地についての相談には応じられません。

また、窓口での相談時には、持参すべき資料があるため、事前に確認しておきましょう!
参照サイト
法務局:『相続土地国庫帰属制度に関するQ&A』
審査にかかる時間ってどのくらい?
相続土地国庫帰属制度の審査にかかる期間は、申請内容や土地の状況によって異なりますが、一般的には8か月程度が目安です。
申請に不備がなければ、スムーズに審査が進み、短期間で結果が出ることがあります。
しかし、複雑なケースや追加資料の提出が求められる場合、審査に時間がかかることがあるため、審査期間は、最長で1年程度かかることも想定しておき、余裕を持って手続きを進めることが大切です。
参照サイト
法務局:『相続土地国庫帰属制度に関するQ&A』
相続土地国庫帰属制度はどの専門家に相談するのがいいの?
相続土地国庫帰属制度に関して相談する場合、以下の5つの専門家が挙げられます。
①司法書士
相続登記や土地の法的手続きをサポートし、必要書類の作成や手続き代行を行います。
②行政書士
申請書類の作成や提出を代行し、相続土地国庫帰属制度の申請手続きに関するアドバイスを提供します。
③弁護士
法的なトラブルや複雑な問題について助言を行い、土地に関する法的解決策を提供します。
④税理士
相続税に関するアドバイスを提供し、相続税の申告や納付に関するサポートを行います。
⑤FP(ファイナンシャルプランナー)
資産管理や相続計画に関するアドバイスを行い、相続土地国庫帰属制度に関連する資産運用をサポートします。
※承認申請書の作成代行は、弁護士・司法書士・行政書士の3士業に限られます。

各専門家には得意分野があるため、目的に合わせて相談することが大切です。
合わせて読みたいコラム
・FPに相談するメリットとは?お金と保険の専門家だからできること
まとめ
今回の記事のまとめです。
相続土地国庫帰属制度は、相続した土地の管理が難しい場合、一定の条件を満たすことで土地を国に引き渡すことができる制度です。
申請には土地1筆あたり14,000円の審査手数料がかかり、承認後には原則20万円の負担金が求められます。
また、申請書類を専門家に依頼する場合、30万円前後の費用がかかることがあるため、目的に応じて相談することが大切です。