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退職金所得控除の基本を解説|早期退職と定年退職の違い

2024年11月16日

Aki

FP資格を取得したことで、知識が人生を豊かにすることの重要性を実感。 ライフプランニングとファイナンシャルプランに関する情報を発信し、多くの人々がより良い未来を築くためのサポートをしていきたいと考える。 個人事業主様相談サイトLittle Space1を運営。 ご相談可能コンテンツ:FP相談、WEBページ制作、WEBライティング、SEOコンサルティングetc >>>詳しくはこちら<<<

退職金控除額って、勤続年数で変わるの?

退職金の手取り額は、できるだけ多く受け取りたいものですよね。

しかし、実際には定年まで働き続けるだけでなく、転職早期退職といった選択肢もライフプランに含まれることがあります。

そんな時、退職金の手取り額がどのように変わるのか、気になるところではないでしょうか。

この記事では、勤続年数に応じた退職金所得控除の仕組みをわかりやすく解説し、さらに早期退職と定年退職における控除額の違いについても詳しくご紹介します。

この記事で分かること

  1. 退職金所得控除の概要
  2. 早期退職と定年退職の退職金の違い
  3. 退職金所得控除を最大限に活用するためのポイント

退職金所得控除とは?基本的な仕組みを解説

まず初めに、退職金所得控除の概要について見ていきましょう。

退職金所得控除は、その名の通り、退職金を受け取る際に適用される控除です。

しかし、この控除額には、勤続年数などの条件が設定されており、それによって控除額が変動します。

図1:退職金にかかる税金の種類
引用元:三菱UFJ銀行『退職金にかかる税金の種類』より

退職金所得控除の概要

退職金所得控除についての概要を、以下にまとめます。

退職金所得控除とは?
退職金所得控除は、退職金にかかる税金を軽減するための制度です。退職金を受け取る際、一定の控除額が差し引かれることで、所得税、住民税、さらに復興特別所得税が軽減されます。

退職金にかかる税金
退職金には、所得税、住民税、および復興特別所得税がかかります。退職金を受け取った本人が亡くなった場合、死亡退職金として遺族に支給され、その際には相続税が課せられることもあります。

申告の必要性
退職金を受け取る際には、退職所得の受給に関する申告書を提出する必要があります。この申告書を提出しない場合、退職金には20.42%の税率が適用され、税負担が増加します。

控除を受けるためには?
申告書を提出しないと、退職金に対する控除が適用されず、税金が高くなる可能性があります。申告書は通常、会社を通じて受け取ることができますが、任意で申請する場合には、国税庁のウェブサイトからダウンロードすることも可能です。

Aki
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なお、申告を忘れた場合でも、確定申告を行うことで過剰に支払った税金を取り戻すことができます。

退職金控除申請に関するサイト
A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)|国税庁

退職金所得控除の計算方法

退職金所得控除額の計算方法は、主に以下の2通りです。

勤続年数が20年以下の場合
控除額 = 40万円 × 勤続年数

勤続年数が20年を超える場合
控除額 = 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)

Aki
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上記で求めた控除額退職金の収入金額から差し引くことで、退職所得を算出することができます。

退職所得の計算式
退職所得 =(収入金額(源泉徴収前の金額) - 退職所得控除額) × 1/2

Aki
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そして、退職所得に対する課税税率を算出します。

退職所得金額に対する課税税率

195万円以下:5%
195万円超~330万円以下:10%
330万円超~695万円以下:20%
695万円超~900万円以下:23%
900万円超~1,800万円以下:33%
1,800万円超~4,000万円以下:40%
4,000万円超:45%

※各税率に応じた控除額が適用されます。

所得税に関する情報サイト
No.2260 所得税の税率|国税庁

退職金の受け取り方の違い

退職金の受け取り方法には、主に一括受け取り分割受け取りの2種類がありますが、これらの方法では退職金控除の適用方法が異なるため、注意が必要です。

Aki
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分割受け取りの場合、基本的に「退職金」ではなく、「年金」の一種として扱われます。

一括受け取り

一括受け取りは、退職金を退職時に一度に全額受け取る方法です。

一括受け取りには、以下の2つの特徴があります。

退職所得控除を活用できる
退職金には「退職所得控除」という税制優遇があり、一定額までの退職金は非課税となります。この控除は、勤続年数が長いほど優遇されるため、税金負担を軽減することができます。

資金調達が迅速にできる
退職後すぐに必要な資金を一度に受け取ることができ、生活費や大きな支出(医療費、住宅ローン、負債の返済など)に充てやすくなります。

分割受け取り

分割受け取りは、退職金を一度に全額受け取るのではなく、定期的に分割して受け取る方法です。

分割受け取りには、以下の2つの特徴があります。

税金の軽減につながる
分割受け取りを選ぶと、退職金の総額を複数年に分けて所得として計上するため、各年の課税額を抑えられる可能性があります。

年金としての取り扱い
分割受け取りの場合、退職金は基本的に「年金」の一種として扱われます。このため、退職金受け取り時に適用される「退職所得控除」は適用されませんが、その代わりに「公的年金等控除」が適用されます。

Aki
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一括受け取りと分割受け取りの違いについては、今後の記事で解説していきます。

早期退職と定年退職で異なる退職金の扱い

ここからは、早期退職と定年退職で異なる退職金の取り扱いについて見ていきます。

先ほどの章で、勤続年数に応じて退職所得控除額が変動することをお伝えしましたが、退職金の額や税金の計算方法も、退職のタイミングによって異なる場合があります。

早期退職の場合の退職金の税金と控除額

早期退職と定年退職では、退職金の扱いや税金に関して異なる点があります。

それぞれの特徴の違いを、以下に簡潔にまとめます。

税金の負担
早期退職
退職金を一括で受け取る場合、収入が一時的に増加するため、税負担が大きくなる可能性があります。
定年退職
定年退職者は、退職金を計画的に受け取ることが一般的で、税金軽減のために分割受け取りを選択することもあります。

退職金の支払いタイミング
早期退職
早期退職では、退職金が早期に支給されるため、その年に課税される税金が大きくなる可能性があります。
定年退職
定年退職では、退職金の支払いが退職金制度に基づいて行われ、受け取りのタイミングや金額は計画的に決められることが多いです。

再就職の影響
早期退職
早期退職後に再就職を考えている場合、退職金を分割して受け取ることで、税金の軽減が図れることがあります。
定年退職
定年退職後に再就職する場合、通常は退職金を一括で受け取ることが多く、分割受け取りを選択するケースは少ないです。

退職金所得控除を最大限に活用するためのポイント

では最後に、退職金所得控除を最大限に活用するためのポイントについて解説します。

冒頭でもお伝えしましたが、ライフプランによって退職金を受け取るタイミングは異なります。

退職金もそうですが、できる限り有事の際に役立つ知識を身につけておくことで、予期せぬ事態にも冷静に対応できるようになります。

退職金を受け取るタイミングの最適化

退職金を受け取るタイミングの選択は、年齢やライフプランに基づく判断が重要です。

退職後すぐに生活費が必要な場合
退職後すぐに生活費を確保したい場合、一括受け取りが有効です。退職金を一度に受け取ることで、短期的な資金調達が可能となり、生活費や負債の返済、大きな支出(医療費や住宅ローンの返済など)に充てることができます。

再就職を予定している場合
退職後に再就職を考えている場合、退職金を分割で受け取ることが有効です。再就職後に新たな収入がある場合、一括で受け取るとその年の税金が一気に増えてしまいます。分割受け取りを選ぶことで、収入を複数年にわたって分散させ、税金の負担を軽減できます。

老後資金として長期間にわたって活用する場合
定年後の生活において、退職金を老後資金として長期間にわたって活用したい場合も、分割受け取りが有効です。退職金を一度に受け取ると、老後の生活資金が減少する恐れがありますが、分割受け取りにすることで、必要な資金を長期間確保できます。また、分割受け取りを選ぶことで、退職金を運用しながら生活費や介護費用に充てることができます。

退職金は老後の備えだけでなく、ライフプランにおける資金の確保など、さまざまな用途に活用できます。

一度に受け取ることができる退職金をどのように活用するかは、ライフステージに応じた柔軟な資金計画を立てることが重要です。

Aki
Aki

退職金の受給額を最適化するためには、まず自身のライフプランを見直すことが大切です。

まとめ

今回の記事のまとめです。

退職金所得控除は、退職金にかかる税金を軽減するための制度で、退職金を受け取る際に一定額が控除されます。

この控除により、所得税、住民税、復興特別所得税の負担が軽減されます。

退職金所得控除の計算方法は勤続年数に応じて決まります。

勤続年数が20年以下の場合、控除額は「40万円 × 勤続年数」となり、20年を超える場合は「800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)」が控除額となります。

早期退職と定年退職では、退職金の扱いや税金に関して異なる点があるため、年齢やライフプランに基づいた適切な判断が重要です。