生命保険は大きく3つのタイプに分かれており、その中の一つが定期保険です。
定期保険は、ライフステージや家族構成に応じて必要な保障を契約時に定めた一定期間補償します。
この保険は、特定の期間において保険料を抑えつつ、手厚い保障を得たい方に適しています。
特に、子育て中の家庭や働き盛りの方々にとって、万が一の事態に備える心強い味方となるでしょう。
本記事では、定期保険の基本的な特徴や選び方のポイントについて詳しく解説します。
この記事で分かること
- 定期保険の仕組み
- 定期保険の選び方のポイント
定期保険とは?
それではまず、定期保険の仕組みについて解説します。
定期保険はその名の通り、一定の期間のみ補償を提供するもので、一般的に「掛け捨て型の保険」とも呼ばれます。
定期保険の仕組み
定期保険は、一定の期間(通常は10年、20年など)にわたって、契約者が指定した死亡保障を提供する生命保険の一種です。
この保険の主な特徴には、以下の4つが挙げられます。
①保障内容
契約時に定めた期間中に被保険者が死亡した場合、指定された保険金が受取人に支払われます。この保障は契約期間中のみ有効です。
➁保険料
保障期間が限定されているため、終身保険など他のタイプの生命保険と比較して、保険料が比較的安いという特徴があります。
③契約期間
契約期間が定まっているため、契約終了後は保障も終了します。ただし、保険契約を更新または再契約する場合、保険料が上がる可能性があります。
④解約返戻金
定期保険には解約返戻金がないことが一般的です。契約期間中に解約しても返戻金が支払われないため、保険としての機能が明確です。
定期保険のメリット
定期保険には、さまざまなメリットとデメリットがあります。
以下に、定期保険を活用することのメリットを挙げてみます。
保険料が安い
定期保険は、保障が一定期間に限られるため、保険料が比較的安価です。特に若い世代や健康な方にとっては、経済的な負担が少なく、魅力的な選択肢となります。
手厚い保障
保険期間中に死亡した場合、契約時に定めた保険金が支払われるため、特定のライフステージ(子育て中や住宅ローン返済中など)において、安心感を提供します。
ライフステージに応じた調整が可能
必要な保障額や契約期間をライフステージに合わせて設定できるため、家庭の状況が変わった場合にも見直しが可能です。
ライフステージに応じた調整が可能なことは大きなメリットです。
この柔軟性により、保険を最適化しやすくなります。
デメリット
次に、定期保険のデメリットについても見ていきましょう。
保険料が割安で定期的に見直しができることがメリットである一方、解約金がないなどのデメリットも存在します。
以下に、定期保険の主な4つのデメリットを挙げてみます。
解約返戻金がない
定期保険には解約返戻金がないのが一般的です。契約期間中に解約した場合、支払った保険料が返戻されることがないため、貯蓄としての役割は果たしません。
保障が期限付き
契約期間が終了すると保障が終了します。万が一の事態が契約期間後に発生した場合、保障を受けられないため、再契約や新たな保険への加入が必要になります。
年齢による保険料の上昇
更新時に保険料が上昇する可能性が高いため、長期間にわたって保障を必要とする場合、将来的な負担が増える可能性があります。
健康状態の影響
再契約や新たな保険に加入する際、健康状態が悪化している場合、保険料が高くなるか、加入できないリスクがあります。
定期保険は貯蓄性のない保険です。
そのため、他のリスクマネジメントを考慮した保険も検討してみましょう。
定期保険の種類と保険期間
では次に、定期保険の種類について見ていきましょう。
先ほどもお伝えした通り、定期保険は貯蓄性のない保険に分類されますが、その中でも代表的な4つの掛け捨て型保険について、この章では詳しく解説します。
掛け捨て型の定期保険4種
掛け捨て型の定期保険には、以下の4つの主要な種類があります。
1. 逓増定期保険
契約期間中に保障金額が徐々に増加していくタイプの定期保険です。
初期の保障額が低く、契約が進むにつれて保障額が増えるため、将来のライフスタイルや家族構成の変化に対応しやすいです。例えば、子どもの成長に伴う教育資金や、住宅ローンの負担増加に備えることが可能です。
2. 逓減定期保険
契約期間中に保障金額が徐々に減少していくタイプの定期保険です。
初期の保障額が高く、契約期間が進むにつれて保障額が減っていくため、特に住宅ローンなどの返済が完了する時期に合わせた保険です。例えば、ローンの残高に応じて保障額を減少させることで、保険料を抑えることができます。
3. 平準定期保険
契約時に設定した保険金額が契約満了時まで変わらない定期保険です。
比較的安い保険料で一定期間の保障を提供するため、主に住宅購入資金や教育資金などに活用されます。
4. 収入保障保険
被保険者が死亡した場合に、一定期間にわたって月々の収入を補償する保険です。
一時金ではなく、毎月一定額の保険金が支払われるため、残された家族の生活費をカバーしやすいのが特徴です。
保険期間のタイプの違い:更新型(年満了)と全期型(歳満了)
定期保険の保険期間のタイプは主に「更新型」と「全期型」の2つがあります。
それぞれの特徴を以下に説明します。
1. 更新型(年満了)
更新型は、契約期間が終了した後に再契約を行うことで保険を継続できるタイプの保険です。通常、契約期間は1年または数年に設定され、満了時には更新手続きが必要です。
①保険料の変動
更新時に年齢が上がるため、保険料が高くなることが一般的です。
➁柔軟性
保険期間が短いため、ライフステージの変化に応じて保障内容を見直しやすいです。
③契約更新の必要性
更新手続きが必要で、再契約などの手間がかかる場合があります。
2. 全期型(歳満了)
全期型は、契約時に定めた期間が満了するまで保障が継続するタイプの保険です。通常、契約期間は10年、20年、またはそれ以上で設定されます。
①安定した保険料
契約期間中は保険料が一定で、更新の必要がありません。
➁長期的な保障
期間満了まで安心して保障を受けられます。
③見直しが難しい
契約期間中に生活状況が変わっても、契約内容の変更が難しい場合があります。
特定の短期間の目的(旅行や葬儀など)に特化した保険として、少額短期保険(ミニ保険)があります。
少額短期保険については、以下の記事で詳しく解説しています。
定期保険の選び方のポイント
では最後に、定期保険を選ぶ際のポイントについて見ていきましょう。
終身保険や養老保険がある中で、なぜ定期保険を選ぶべきなのか、その理由をしっかりとおさえておきましょう。
終身保険や養老保険との違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
補償期間の策定の仕方
現在のライフステージと将来のライフステージを考慮することは、定期保険の保障期間を設定する上で重要です。
独身の方は、自分自身の生活費を考慮して短期間の保障を検討することが適切ですが、一方で、結婚後は配偶者の生活を守るため、生活費や共通の負担に応じて保障内容を見直す必要があります。
特に子育て中の家庭では、子どもが成人するまでの教育資金を考慮し、約18年から20年の保障期間を設定することが一般的です。
将来のライフステージも重要な要素です。
家族構成の変化や子どもが独立するタイミングを考慮し、教育資金や住宅ローンの返済に応じた保障を検討することが求められます。
また、リタイアメント後の生活を支えるための計画を立て、必要な保障が得られる期間を見積もることで、長期的な安心感を得ることができます。
必要保障額の考え方
必要保障額の考え方は、ライフプランに基づき、万が一の事態が発生した場合にどれだけの金額が必要かを見積もるプロセスです。
必要保障額を策定する際は、以下の5つのポイントを考慮することが重要です。
①生活費の計算
まず、現在の生活費を把握します。日常の支出、住宅ローンや賃貸料、教育費、医療費、食費、保険料など、生活に必要な総額を計算します。これにより、万が一の際に家族がどれだけの期間生活できるかを見積もります。
➁ライフステージの考慮
家族構成やライフステージによって必要な保障額は変わります。例えば、子育て中の家庭では子どもの教育費や生活費が重要な要素となりますし、子どもが独立した後は別のニーズが生じるため、これらを考慮することが必要です。
③将来の支出の見積もり
教育資金、住宅ローンの残高、老後の生活費など、将来の大きな支出も考慮します。これには、子どもの教育費や自分自身のリタイア後の生活費が含まれます。
④貯蓄や資産の確認
現在の貯蓄や資産、年金なども考慮に入れることで、実際に必要な保障額を見積もりやすくなります。万が一の事態が発生した場合に、どれだけの資産が残るかを確認することが大切です。
⑤保障の目的
必要保障額は、保険を通じて何を達成したいのかに基づいて設定されるべきです。たとえば、家族の生活費を補うため、子どもの教育資金を確保するため、あるいは借入金の返済をカバーするためなど、具体的な目的に応じた金額を考えることが重要です。
必要保障額を策定する際は、現在のキャッシュフロー表と今後のライフプラン表をまとめましょう。
具体的な数字を把握することで、必要な保険額を明確にできます。
まとめ
今回の記事のまとめです。
定期保険は、一定期間にわたって死亡保障を提供する生命保険です。
この保険の特徴として、保険料が比較的安価である一方、契約期間が終了すると保障も終了する点が挙げられます。
また、解約返戻金がないため、契約中に解約しても返戻金は支払われません。
定期保険にはさまざまな種類があり、逓増定期保険、逓減定期保険、平準定期保険、収入保障保険などがあります。
これらはそれぞれの目的に応じて使い分けることが重要です。
さらに、定期保険は更新型(年満了)と全期型(歳満了)の2つのタイプがあり、ライフプランに合わせた選択が可能です。