事業をスタートさせる際、保険の活用はビジネスリスクヘッジの鍵となります。
しかし、実際に事業を始め、保険を選定するとなると、「月額いくらになるのか?」「補償内容は?」「いざというときはどのように活用するのか」など、保険にまつわる悩みがつきものです。
特に、個人事業主の場合、店舗総合保険にかかる保険料の負担は大きいものとなります。
そこで今回は、個人事業主の方におすすめの店舗総合保険について、月額費用の見積もり方法や補償内容のポイント、活用方法を詳しく解説していきます。
この記事で分かること
- 店舗総合保険の必要性
- 店舗総合保険の補償内容と加入方法
- 店舗総合保険と火災保険の違い
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店舗総合保険とは
店舗総合保険とは、火災保険、施設賠償責任保険、PL保険など、複数の保険をひとまとめにした総合保険です。
店舗を経営すると、火災、水漏れ、盗難など、さまざまなリスクが発生します。
通常は複数の損害保険に加入する必要がありますが、その際に便利なのが店舗総合保険です。
店舗総合保険の特長
店舗総合保険は、店舗経営者がさまざまなリスクから保護されるための包括的な保険です。
以下は店舗総合保険の特徴を簡潔にまとめたものです。
基本的な補償内容
- 火災・自然災害
火災や自然災害時に店舗や店内の資産を補償します。 - 盗難
商品や備品の盗難に対する補償を提供します。 - 賠償責任
お客様や第三者に対する損害賠償責任に備えます。 - 商品の瑕疵
販売した商品に欠陥がある場合の補償を含みます。
保険の特長
- 包括性
火災、水漏れ、盗難、賠償責任など、多岐にわたるリスクを一括してカバーすることができます。 - 経済的効率
個別に複数の保険に加入する手間と、コストを削減することができます。 - 柔軟性
契約内容を調整し、特定の店舗ニーズに合わせることができる柔軟性があります。 - 一元管理
保険の一元管理が可能で、事故発生時にスムーズかつ迅速に対応できます。
店舗総合保険の補償範囲
店舗総合保険の補償範囲を把握しておきましょう。
店舗総合保険はすべてのリスクに対応しているわけではありません。
対象になる場合とならない場合があるので、以下のポイントを理解しておくことが大切です。
店舗総合保険の補償対象
店舗総合保険の補償対象には、主に以下の6つの項目が含まれます。
①自然災害
火災、落雷、風災、水災、雪災などによる損害が補償対象。
ただし、地震や津波に関する損害は基本的に補償されないため、別途特約や地震保険が必要。
➁盗難
商品や店舗の備品に対して、盗難による損失が補償される。
盗難により設備や備品に損傷・汚損が生じた場合も補償の対象。
③破裂・爆発・水漏れ
ガス漏れや爆発による損傷、水漏れによる店舗や商品、機材の損害が補償される。
④外部からの衝突・飛来
建物への物体の落下や衝突による損害が補償の対象。
例:自動車が店舗に突っ込む事故など。
⑤破壊行為・暴力行為
暴動や破壊行為による損害が補償される。
店舗外での喧嘩や破壊行為による損傷も対象。
⑥持ち出し家財の損害
店舗から持ち出された家財に生じた損害が補償対象。
一定の条件を満たす必要があり、特約や携行品損害特約の適用も考慮。
ただし、これらの補償対象は店舗総合保険によって異なるため、契約内容や特約に十分な注意が必要です。
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店舗総合保険の補償対象外
次に店舗総合保険の補償対象外についても知っておきましょう。
以下が補償が適応されないケースです。
①保険金の不正受給
故意または重大な過失による損害。
➁自然災害
地震、噴火、津波による損害。
③労働争議による損害
暴力行為や破壊行為が労働争議に関連する場合。
④野外での盗難
保険対象物が野外にあり、その場で盗難された場合の損害。
⑤自身の車両事故
自身が所有する車両による衝突事故などの損害。
⑥自転車・原動機付自転車の盗難
自転車や原動機付自転車の盗難による損害。
⑦補償開始前の損害
保険の補償開始日前に発生した損害。
補償が適応される条件と、そうでない条件を把握しておくことは大切ですね。
どのケースで保険が適用されるのかを把握しておくために、一度火災保険も見直しておくと心強いですね!
店舗総合保険の補償内容
店舗総合保険の各補償内容は、適用される保険金により異なります。
以下に、各補償内容を整理しています。
損害保険金
対象:建物、什器、商品などが損害を受けた場合の費用
内容:通常、再調達に必要な新品の価格を基準に補償。
臨時費用保険金
対象:損害が生じた場合の臨時的な費用
内容:代わりの建物の賃貸費用など、損害発生時の追加費用を補償。
失火見舞費用保険金
対象:火災やガス爆発で近隣に損害を与えた場合の費用
内容:近隣に支払う見舞金の額を補償。
地震火災費用保険金
対象:地震・噴火による火災での損害
内容:地震や火災などの災害で生じた修理や再建にかかる費用を補償。
修理付帯費用保険金
対象:修理必要時の追加費用
内容:什器などの備品が復旧するまでにかかる費用を補償。
損害防止費用
対象:損害を防ぐための措置を講じた場合の費用
内容:防止措置にかかった費用を補償。
残存物取片付け費用
対象:事故による片付けや清掃費
内容:建物や敷地内に残された不要物や廃棄物の処理費用を補償。
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店舗総合保険の特約とは
店舗総合保険には様々な特約があり、それぞれ異なるリスクに対応しています。
以下に、主な特約とその内容をまとめます。
施設賠償責任特約
対象業種:飲食店、美容室、小売業など
内容:施設内での転倒や事故、施設の設備や設置物が利用者によって損傷されたり、他の人や財産に対して生じた損害費用を補償。
生産物損傷責任特約
対象業種:飲食業、小売業など
内容:提供した商品や料理が原因でお客に身体の障害を与えた場合の賠償責任を補償。
受託者賠償責任特約
対象業種:美容院、サロン、飲食店、小売店など
内容:お客の荷物や所有品を紛失・汚損した場合の賠償責任を補償。
食中毒見舞保険金
対象業種:飲食店、イベント(飲食提供業)など
内容:食中毒発生時に被害者の医療費や休業補償などの費用を補償
人格権侵害賠償責任特約
対象業種:美容院、サロン業など
内容:会話中に発生した失言により、お客が精神的なショックを受けた場合の賠償責任を補償。
施術行為起因損害賠償責任特約
対象業種:美容院、サロン業など
内容:施術中に発生した事故により、お客がケガなどを負った場合の賠償責任を補償
店舗総合保険には賠償責任に関する補償が含まれていないため、特約を付けるのが一般的です。
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店舗総合保険の保険料
さて、店舗総合保険の保険料はどのように決まるのでしょうか。
この章では、店舗総合保険の保険料について詳しく見ていきましょう。
店舗総合保険の保険料相場
店舗総合保険の月々の保険料は、一般的に2,000円~7,000円程度が相場とされています。
ただし、この金額は店舗の運営状況や特約の有無によって変動します。
保険料を決める要素として、以下の4つが挙げられます。
- 店舗の年間売上高
売上高が大きいほど、リスクが高まり、保険料も増加する傾向があります。 - 店舗状況(所在地、専有面積、構造、職種)
店舗の所在地、広さ、建物の構造、営業の職種などがリスク評価に影響を与えます。 - 保険金額
保険で補償されるリスクの金額が大きいほど、保険料も高くなります。 - 保険期間
長期間の契約の場合、月々の保険料が低くなることがあります。
通常、基本補填の掛金が1,000円から4,000円ほどかかり、そこに特約の掛金が追加される仕組みです。
特約の掛金は補償内容によって異なり、200円から1,200円程度まで幅広くあります。
保険料とリスクの関係性
店舗総合保険の保険料とリスクの関係性は、一般的に次のような要因に影響されます。
被保険物の価値
建物、什器、商品などの被保険物の価値が高いほど、保険料も増加する傾向があります。高額な資産を保護するため、保険会社はリスクを評価して保険料を設定します。
事業の性質と規模
事業の性質や規模が大きい場合、損害の可能性が高まります。たとえば、大規模な火災や災害が発生するリスクが増すため、それに応じて保険料が上昇することがあります。
地理的要因
事業が位置する地域の災害リスクや治安なども保険料に影響します。地震や洪水が頻発する地域では、それらに備えた補償が必要であり、保険料が高くなることがあります。
過去の損害履歴
事業の過去の損害履歴は、将来の損害発生リスクに影響を与えます。過去に多くの損害がある場合、保険料が上昇する可能性があります。
セキュリティ対策
防犯対策や火災対策などのセキュリティ対策が整備されている場合、リスクが低減し、それに応じて保険料が引き下げられることがあります。
保険の範囲と条件
保険範囲や条件が広範であるほど、損害を補償する範囲が広がりますが、その分保険料が上昇することがあります。
これらの要因は、保険会社がリスクを評価して適切な保険料を設定する際に考慮されます。事業状況や保険の内容によっても異なるため、具体的な契約条件や保険プランに基づいて保険料が算出されます。
保険会社もしくはFPに一度相談してみると具体的な保険料を算出できます。
FPが持つ役割については、以下の記事でまとめています。
保険料を抑える方法
保険料とリスクの関係性については先ほどの章で述べましたが、具体的にはどのようにして保険料を抑えることができるのでしょうか?
店舗総合保険の保険料を抑える方法として、以下の7つが挙げられます。
①適切な補償額の設定
被保険物の価値を正確に評価し、必要な補償額を適切に設定することで、不必要な保険料の支払いを避けることができます。
➁リスクの低減策の実施
防犯対策や火災対策など、セキュリティを向上させる対策を実施することで、リスクを低減し、保険料を引き下げることができます。
③自己負担額の調整
自己負担額を増やすことで、保険料を削減することができます。ただし、自己負担が高すぎると、損害が発生した際に支払うべき金額が増えるため注意が必要です。
④異なる保険会社の比較
複数の保険会社から見積もりを取り、料金やサービスを比較することで、最適な条件で契約できる可能性があります。
⑤グループ割引の活用
商工会や業界団体が提供しているグループ割引などを利用することで、保険料を割引できる場合があります。
⑥適用範囲の見直し
不必要な補償項目を削減し、必要に応じて適用範囲を見直すことで、余分な保険料を軽減できます。
⑦定期的な見直しと更新
事業状況やリスク状況が変わるにつれて、保険プランを定期的に見直し、必要に応じて更新することで、最適な条件を維持できます。
これらの方法を組み合わせることで、店舗総合保険の保険料を効果的に抑えることができます。
店舗総合保険の選びに迷ったら、まずはFPなどの保険専門家に相談するのも有効な手段です。
店舗総合保険の加入方法
では最後に、店舗総合保険を契約する際の流れと、契約の種類について見ていきましょう。
下記の記事では、家財保険で適用される保険金についてまとめています。
詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事をご参照ください。
店舗総合保険の契約までの流れ
店舗総合保険を契約する際の一般的な手順は、以下の通りです。
- 保険の必要性を確認
店舗のリスクを考え、保険の必要性を確認します。 - 保険代理店や保険会社を選定
複数の保険会社や代理店を比較し、保険会社を選定します。 - 保険料見積もりを取得
店舗情報を提供し、保険料の見積もりを取得します。 - 契約内容を確認
提案された保険内容や補償範囲、特約についての詳細を確認します。 - 契約書類に記入
各契約書類を記入し、署名と捺印をします。 - 保険料の支払い
契約成立後、指定された方法で保険料を支払います。 - 保険証券の受け取り
保険料支払い完了後、保険証券が発行され、契約者の所在地に郵送されます。
申し込み方法
店舗総合保険の加入方法は主に3つあります。
以下はそれぞれの特徴をまとめたものです。
①保険会社と直接契約
特徴:保険会社と直接契約を行います。
メリット:保険担当者から直接詳しい説明を受けることができます。
デメリット:他社と比較するためには、複数の保険会社に個別の問い合わせが必要です。
➁保険代理店を通じて契約
特徴:保険代理店を通じて複数の保険会社の保険を比較できます。
メリット:一度に複数の保険会社を比較できるため、時間を節約できます。
デメリット:代理店経由でも比較的詳しい情報を得ることができますが、直接契約と比べると少し制約があります。
③ネット保険での契約
特徴:ネット保険を通じて保険を契約します。保険会社や代理店を介さずに直接手続きが可能です。
メリット:人件費がかからないため、月々の保険料が抑えられることがあります。
デメリット:専任担当者がつかないため、相談や問い合わせが電話やメールに限定され、詳細な情報がわかりにくい場合があります。
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見積もり方法
店舗総合保険の見積もり方法は、通常以下の手順となります。
①保険会社のウェブサイトでの見積もり依頼
多くの保険会社は公式ウェブサイトを通じて見積もりを提供しています。保険会社のウェブサイトにアクセスし、必要な情報を入力して見積もりを取得できます。
➁保険代理店を通じて見積もり依頼
保険代理店や保険コンサルタントを通じて見積もりを依頼することもできます。代理店は複数の保険会社と提携しており、複数の選択肢を比較する手助けをしてくれます。
③保険会社への電話での問い合わせ
保険会社に直接電話をかけ、担当者に見積もりを依頼することも一般的です。電話での対話を通じて細かいニーズや要望を伝えやすくなります。
④保険比較サイトを利用
オンラインの保険比較サイトを利用することも選択肢です。複数の保険商品を比較しやすく、一度の入力で複数の見積もりを得ることができます。
見積もりを取得する際には、保険料だけでなく補償内容や特約、免責金額なども注意深く確認することが重要です。また、各見積もりが同じ条件で提供されているかを確認し、適切な比較ができるようにしましょう。
店舗総合保険と火災保険の違い
店舗保険と火災保険の大きな違いは、「補償の範囲」にあります。
火災保険は主に火災や自然災害による損害を補償しますが、店舗保険はそれに加えて、落下物・飛来物、水漏れ、デモによる損害、盗難、水災など、より広範なリスクに対応しています。
店舗保険は補償範囲が広がった総合的な保険であり、特約を付帯することでさらなるリスクにも対応できます。例えば、火災保険に含まれない洪水や高潮に対応する店舗保険や、店舗休業保険に特約として付帯する商品などがあります。
補償内容とコストを比較し、自身のお店に最適な保険を選ぶことが重要です。
火災保険についても理解しておくことで、有事の際のリスクを軽減することができます。
火災保険については以下の記事で綴っています。
まとめ:店舗総合保険のメリットを最大限に活用しよう
今回の記事のまとめです。
店舗総合保険は、火災や盗難、自然災害など広範なリスクに対応する総合保険です。保険料は店舗の状況や補償内容により策定され、特約の追加で補償範囲を拡充できます。
補償対象は火災や自然災害、盗難、水漏れ、破壊行為などが対象です。ただし、特定条件や不正行為、地震・津波被害は通常補償されないため、注意が必要です。
メリットは多岐にわたるリスクへの対応力と特約による柔軟性で、デメリットは他の保険に比べて保険料が高く、賠償責任には対応していないため賠償責任特約の追加が一般的です。
契約手順は、保険会社のウェブサイトや保険代理店を通じての見積もり依頼があり、補償内容や保険料を比較することが重要となります。
店舗総合保険と火災保険の違いに、補償範囲が挙げられます。店舗保険は火災に限らず広範なリスクに対応し、特約で補償範囲を広げることができますが、火災保険は火災や自然災害に特化しており、補償範囲が狭いことを理解しておきましょう。